韓国ソウル・梨泰院で2022年10月29日におこった痛ましい事故。これまでに、死亡した155人全員の身元が判明したようだが、韓国内で身分証を持たない17歳未満の未成年者や、外国人は特定に時間がかかったとみられる。
海外留学や旅行滞在中、外出時に日本の身分証明書やパスポートを常に身に着けて行動するとは限らない。そんな中、今回の大事故を受けて、iPhoneのひとつの機能に注目が集まっている。
FBIも拒否されたロック解除
「みなさん...iPhoneでもギャラクシーでも、緊急医療情報を必ず登録しておいてください。もし行方不明になったり、事故にあったりしても個人情報保護を理由に、警察も携帯メーカーもロック解除できません」
事故後の10月30日、ツイッターでのこの投稿は、4万件以上のリツイートと2万8000件以上のいいねを、これまで集めている。「ギャラクシー」とは、韓国サムスン電子のスマートフォンを指すとみられる。
実際、FBI(米連邦捜査局)が2015年や19年に起こった事件で、捜査目的で米アップル社にiPhoneのロック解除を求めたが、拒否されている。
ツイートに書かれた「緊急医療情報」とは、「設定アプリ」から登録が可能だ。アップル公式サイトのサポート情報を調べると、iPhoneの場合はもともとインストールされている「ヘルスケアアプリ」から、メディカルIDを設定することで、
「パスコードを入力しなくてもロック画面からあなたの重要な医療情報をみることができます」
と案内がある。
名前や生年月日、緊急連絡先を入力
設定方法は、アプリを開いて「概要」タブ、右上にある丸いプロフィール画像の順にタップする。プロフィール画面が開くので、上から2番目の「メディカルID」を押し、右上の「編集」を選ぶと、名前や生年月日、身長体重など基本的な情報から、臓器提供情報やアレルギー情報、使用中の薬、緊急連絡先を入力できる。
実際に記者が試してみた。表示したい情報は自分で選んで入力でき、知らせたくない情報は伏せてよい。緊急時のアクセスについても、「ロック中に表示」するかどうかを選べた。
それだけではない。緊急連絡先を追加すると、「緊急SOS」(スリープボタンを素早く5回押す)の使用時には、「緊急通報サービス」(警察や救急などへの通報)以外に、所有者の現在地とサービスを利用したというメッセージが、連絡先に設定した人に届くようになっている。
Android搭載機種は、機種や基本ソフト(OS)のバージョンにより異なることが多いが、「設定」から「デバイス情報」、緊急時連絡先の順にタップすると、名前やアレルギーなどの知らせたい情報緊急連絡先を追加できる。こちらも、ロック画面から「緊急情報」として確認できた。