【連載】アイスリボン・藤本つかさ 素顔の女子プロレス
人生のテーマソングはありますか? この曲を聞けばテンションが上がる、勉強がはかどる、リラックスできる、あの人・あの頃を思い出す――。
私はモー娘。の「memory 青春の光」を聴けば、中学時代の教室の風景が浮かび、アヴリル・ラヴィーンの「My Happy Ending」を聴くと大学時代のゼミ発掘合宿を思い出します。
ウン、懐かしい!
最近曲選びをしたのは、自分の結婚式でした。入場、退場、乾杯、お手紙を読む時などなど。盛り上がる演出に曲は欠かせないですね。
プロレスラーに切り替わる
プロレスでは試合と同じくらい大切な、入場があります。その入場を彩る大切な要素が、入場曲!「かっこよく」、「フェミニンな感じで」、「戦闘モードで」と、人それぞれ。
ところで、入場パフォーマンスや入場曲は、誰がどのように決めるのでしょう。
アイスリボンでは、最初は会社が選手のリングネームや年齢、好きな曲、経歴を見て、仮で決めています。だんだん選手の個性が見えてくると、本人の希望のもと、オリジナル曲が与えられます。
私の場合、フットサルチーム「南葛シューターズ」のメンバーでもあるため、最初はキャプテン翼の「燃えてヒーロー」を入場曲にしていました。フットサルユニフォームで試合していたこともあり、イメージにピッタリ!だから変えたくなかったのですが...。
団体として全員オリジナル曲にしようということになり、変更することに。
イメージを崩さない程度で、舞台に出演していた時の「音楽制作」の人に作ってもらいました。
みんな、藤本つかさの入場曲知ってる? ピーピージャンジャンジャン♪で始まるの。
お気に入り部分は最初のホイッスル。この笛が鳴ると「プロレスラー・藤本つかさ」に切り替わります。私にとっての、やる気スイッチ。ピッ。
「今、視聴率100%だ」
新人時代、引退された植松寿絵さんに、こんなことを言われました。
「試合中は、リング以外のエプロンやセコンドにいる選手を見るお客さんもいるけど、入場の瞬間だけは100%入場している選手を見るんだよ」
この言葉を常に意識して入場しています。
「今、視聴率100%だ」
と。
リングに上がると、背筋を伸ばして両手を大きく広げる。左から右へとお客さんをガン見。目が合うくらい、ガン見します(笑)。そして、コールと同時に後ろに下がってから、天井を見上げて右手を挙げる。
これが私の入場パフォーマンス。
子どもが真似してるのを見ると、とてもうれしい!
戦いの場に行く前に
入場は自分だけがテンションを上げるものではないから、お客さんとの一体感が大切。
葛西純選手の入場曲は、お客さんのボルテージがマックスになります。曲に合わせて「か・さ・い」コールが自然発生し、会場全体に一体感を生みます。
アジャコング選手の入場曲「The Hellion/Electric Eye」by Judas Priest(ジューダス・プリースト)も、戦いの場に行く前に聴きたくなります。
プロレスラ―だけでなく、誰しもが「自分の入場曲」を持っているはず。この曲を聞けば、頑張れる。そんな曲があるなら、それはもう自分の入場曲。そう感じながら、大会を見るとまた違った感覚になりますよ。入場体験とか、そういうイベントあったら、楽しそう!
あなたは、どんな入場曲をお持ちですか?
10月30日はアイスリボン両国KFC大会。この日は先輩後輩がタッグを組んで絆を確かめる、「1DAY絆トーナメント」です。選手の入場もお楽しみに!
最後に。
「この道を行けばどうなるものか 危ぶむなかれ 危ぶめば道はなし
踏み出せばその一足が道となり その一足が道となる 迷わず行けよ 行けばわかるさ」
プロレス道を造ってくださり、ありがとうございました。これからもその道を突き進んで行きます。
アントニオ猪木さんのご冥福をお祈り申し上げます。
宮城県利府町出身。利府町観光大使。
東北福祉大学卒業後、広告代理店に就職。上京後、芸能事務所にスカウトされる。プロレスを題材とした映画「スリーカウント」出演のため、2008年プロレス団体アイスリボンの練習に参加したところからプロレスラー人生が始まる。
2015年アイスリボン取締役選手代表就任。18年には東京スポーツ新聞社制定女子プロレス大賞受賞。21年8月23日デビュー13周年を迎える。
【アイスリボン公式YouTube】
https://youtube.com/user/iceribbon
【藤本つかさ公式YouTube】
https://youtube.com/channel/UC_V0vfhOMxE9bCVvxjJ9JBw