声優の武器は「声」だけじゃない ベテランが語る自主企画の魅力

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【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。隔週水曜夜、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招いて、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」や「オンラインセミナー」で語らう企画が「作リエ」だ。
連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?

   第8回のゲストは、声優・俳優として活躍する岡本麻弥さん福宮あやのさん。テーマは「声優の武器は声だけじゃない 『自主企画』が世界を広げる」だ。スペースアーカイブはこちらから。

  • (左から二人目)米国で演技と語学を勉強していた頃の岡本さん(提供:岡本麻弥さん、2000年撮影)
    (左から二人目)米国で演技と語学を勉強していた頃の岡本さん(提供:岡本麻弥さん、2000年撮影)
  • 「truth~姦しき弔いの果て~」(監督:堤幸彦)に出演した、福宮あやのさん(c)2021映画「truth~姦しき弔いの果て~」パートナーズ
    「truth~姦しき弔いの果て~」(監督:堤幸彦)に出演した、福宮あやのさん(c)2021映画「truth~姦しき弔いの果て~」パートナーズ
  • 「雷神八系ーZANAMーファム・ファタール~運命の女」設定資料集より(イラスト: 麻宮騎亜先生)
    「雷神八系ーZANAMーファム・ファタール~運命の女」設定資料集より(イラスト: 麻宮騎亜先生)
  • 体当たりでさまざまな企画に挑んできた、福宮さん(撮影:雨森希紀)
    体当たりでさまざまな企画に挑んできた、福宮さん(撮影:雨森希紀)
  • (左から二人目)米国で演技と語学を勉強していた頃の岡本さん(提供:岡本麻弥さん、2000年撮影)
  • 「truth~姦しき弔いの果て~」(監督:堤幸彦)に出演した、福宮あやのさん(c)2021映画「truth~姦しき弔いの果て~」パートナーズ
  • 「雷神八系ーZANAMーファム・ファタール~運命の女」設定資料集より(イラスト: 麻宮騎亜先生)
  • 体当たりでさまざまな企画に挑んできた、福宮さん(撮影:雨森希紀)

「死ぬかも...」と思いつつ、米国へ

   「機動戦士Zガンダム」のエマ・シーン役などで知られる、岡本さん。高校入学と同時に「勝田久 声優学院(当時は声優教室、2015年閉院)」に通い、高校での演劇部と並行して役者・声優の勉強を始めた。

   思い立って1999年から渡米し、俳優養成学校で語学と演技の勉強に明け暮れた。米国では6年半ほど生活したが、その間も日本で定期的に行われる「サクラ大戦 歌謡ショウ」出演のためにたびたび帰国。ニューヨークで2001年9月11日に起きた「アメリカ同時多発テロ事件」に遭遇したり、02年にはロサンゼルスに飛行機で向かっている間に、米軍がアフガン戦争の最中に爆弾投下し、超厳戒態勢の空港へ降り立ったりと、激動の時代を肌で感じ、同時に「外から日本を見る」貴重な日々を過ごして帰国した。

提供:岡本麻弥さん
提供:岡本麻弥さん
岡本さん「国が違えば、人の生き方も感覚も違う。違う文化に触れるのは良いものです。死ぬかもしれないと思って渡米しましたから、死なずに帰ってこられただけでも儲けもの」

   現在は、自主企画「雷神八系ーZANAMーファム・ファタール~運命の女」に注力している。「90年代に大ヒットした」設定の、日本神話をベースにした「架空アニメ」プロジェクトだ。「あんなキャラいたよね」と過去を思い出す体で、新キャラクターを作っている。

岡本さん「イラストとキャラクターデザインをマンガ家・イラストレーターの麻宮騎亜先生、シリーズ構成を大沼弘幸さん、本編出てないのに外伝の話をライターの雅やさん、メカ設定協力を俳優の泰勇気さんにお願いしています」
山下さん「自主企画でやる規模じゃない!」
「雷神八系ーZANAMーファム・ファタール~運命の女」キービジュアル(イラスト: 麻宮騎亜先生)
「雷神八系ーZANAMーファム・ファタール~運命の女」キービジュアル(イラスト: 麻宮騎亜先生)

   培ってきた人脈を頼りにしつつ、岡本さんも声優・俳優の枠を超え、世界観や設定考案、作詞、インタビュー、プロデュースなど幅広い取り組みに注力してきた。

   山下さんから「声優として企画の立ち上げをやってみて、何か変わったことはあるか」と質問を受け、岡本さんは、CDドラマ作りに際して脚本を書き、声優にスタジオで声を吹き込んでもらった話を例に出した。思い描いていたイメージと違う演技を目の当たりにしたことで、「ああ、こういうのもあるか!」と世界が広がる感覚を得たという。

岡本さん「頭の中だけにあるものって、結局つまらないんですよ。だって自分で全部わかっているから。思いつかなかったもの、知らないものを人が自由に出してくれるのが面白い」

   多くの人と関わり、一役者でなく制作側として作品に携わったことが、「制作側に期待されている演技ができているか気にするのではなく、役者として堂々と、自分が表現するものをしていけばいい」という思いを強める結果につながった。

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