「食べられないコメ」がマットレスに変身 CO2抑制に寄与する素材開発

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配合比率25%を目指す

   その後、国内で廃棄されてしまう古米や破砕米を使った「ライスレジン」というバイオマスプラスチックがあると知り、商品化の試作を行った。しかしコメ由来なので、配合比率を上げると焦げやすかったり、がちがちに固まってクッション性が損なわれるという問題があった。配合の調整に半年近く費やし、やっと10%ライスレジンを使ったクッション材を作ることに成功。コメをつかったライトウェーブは、「RICEWAVE(ライスウェーブ)」と名付けられた。

   このライスウェーブを使った一般向け商品として、2つ折りクッションを2022年6月に発売。モーブルでは今後、マットレスやソファの商品化や、配合比率を25%まで上げることを目指し、現在も試作を続けているという。

   こんな事例も生まれた。静岡県浜松市の漁協で、うなぎの遡上の補助「魚道」にライスウェーブが応用されたのだ。従来は、魚道に人工芝を使っていたため海中へのマイクロプラスチックによる汚染が懸念されていた。そこで、お米由来の素材を使いたいとライスウェーブに白羽の矢が立ったのだという。モーブルが浜名湖養魚漁協協同組合と連携し、構想に1年かけて実用化した。

   難点は、通常の樹脂材料と比較すると材料費用が高くなること。「一般顧客に受け入れてもらいやすい価格に抑えていきながら、環境への取り組みを引き続き伝えていく企業努力が必要」だと、丸山氏は言う。

   「ライスウェーブを作っている工場では、ポン菓子をつくっている時のようないい香りがする」と丸山氏。ぜひお米の香りに包まれるマットレスを使い、環境問題を考えてみてはどうだろう。

(ライター・永井 玲子)

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