野生の数は増えつつあるが
では、国内での繁殖はどうか。「マリンワールド海の道」のラッコ担当者によると、国内水族館でラッコの飼育数が多かった時、水族館同士で繁殖が試みられていたそうだ。
しかし、ラッコは健康管理が難しく、また気温・水温が10度前後と寒い環境を維持する必要がある。繁殖のために輸送されるラッコにも、ストレスがかかる。そして、国内の飼育環境下にいる個体の高齢化が進んでおり、繁殖には手が出しにくいのが現状だと話した。
日本からラッコがいなくなるわけではない。北海道で野生のラッコ20頭ほどの生息が確認されている。そして、「微々たる数ですが、個体数は回復してきています」。
だが、野生のラッコを水族館で飼育する選択肢は、「今のところは、出ていない」と担当者。野生の数がもともと少なく、手を出しにくい。一方で、少ないとはいえ野生のラッコの数が徐々に回復しているため、保護の必要性も議題として上がっていないという。