ドラフト会議前の1位指名公表は「アリ」 9球団の判断を識者が推した根拠

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   プロ野球のドラフト会議が2022年10月20日に行われる。12球団のうち9球団が19日までに、1位で指名する選手を公表しており、挙がっている名前に重複はない。ツイッター上では「(今年のドラフトは)つまらない」「出来レースみたい」との声が出ている。

   事前に公表することで、他球団を牽制し競合を避けるねらいがあるのかもしれない。有識者は相次ぐ事前公表をどう評価しているのか。スポーツライターの小林信也氏に取材すると、良い傾向と指摘する。

  • ドラフト会議前に1位指名公表 その是非は(写真はイメージ)
    ドラフト会議前に1位指名公表 その是非は(写真はイメージ)
  • ドラフト会議前に1位指名公表 その是非は(写真はイメージ)

ドラフトの「無駄」を省ける

   例えば読売ジャイアンツは高松商業高校・浅野翔吾投手の、北海道日本ハムファイターズは日本体育大学・矢澤宏太投手の1位指名を公言したとそれぞれ報じられている。20日14時時点で事前公表が報道されていないのは、横浜DeNAベイスターズ、阪神タイガーズ、千葉ロッテマリーンズのみだ。

   小林氏は、そもそもドラフト制度の存在自体に反対する立場だという。

   ドラフト会議やくじ引きの結果は毎年報道で大きく注目を浴び、エンターテインメント性が強い。小林氏は、選手の獲得や育成は野球において重要な事柄であり、話題性を主とするべきではないと指摘する。

   さらに選手本人が各球団の練習環境や指導方針などを調べ、自由に入団を希望する球団を選べない、との現状を疑問視している。

   その上で「今の制度の中でできるだけ『無駄なこと』を省くためには、事前公表はアリ」と評する。

選手と球団が「相思相愛」なら

   指名選手の事前公表が行われる背景として、すでに選手と、選手が希望する球団の間で一定のすり合わせが行われているのではないかと小林氏は推測する。選手-球団間の直接の交渉はなくとも、所属野球部の監督や球団スカウトといった関係者間のやりとりを通じて、球団が入団希望先を調査することはあり得る。

   つまり各球団は、事前に選手が自球団を希望しているとわかった上で、1位指名を公表しているところが多いのではないか、との分析だ。もしも「相思相愛」なのであれば、選手が希望する球団へ入団するのが「良いに決まっている」と小林氏。

   事前公表を通して他球団との競合を防げれば、入団をめぐって選手と球団両者の選択が反映される。既存のドラフト体制から脱する部分があり、「なかなか変われない野球界が、現実的に変わろうとしている」と評した。

   ただしもしも選手が希望する球団ではないのに、単独で指名するための戦略として球団側が一方的に事前公表をしているケースがあれば、喜ばしいことではないとも話した。

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