怪人ひしめく「悪の秘密結社」 ツイッター界の「必要悪」アカウント

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ヒーローに憧れた過去

   順風満帆なアカウントに見えるが、シャベリーマンには悩みがある。数年前と比べて投稿頻度が落ち、気の利いた面白ツイートができなくなって、バズることが少なくなっているのだ。

   理由は、「怪人の手が足りない」から。当初は「悪の秘密結社」アカウントだけに時間をかけられたが、「シャベリーマン」の公式ツイッターも18年8月に開設したことで管理場所が増えたうえ、代表作「ドゲンジャーズ」が誕生してからは映像制作や宣伝に忙しくなった。嬉しい悲鳴ではあるが......タイムラインを管理できていないのでは。

「昔は、一般人の結婚式で父親役やらせてもらうとか、とにかく何をしてるのかわからない『ミステリアスな会社』と思われていたはずなので、RTされやすい傾向にあったのだろうと」

   気になるワードをポロッとこぼすシャベリーマン。ドゲンジャーズは福岡を舞台に、ご当地ヒーローが活躍する特撮作品で、悪の秘密結社の怪人たちも数多く登場するため、公然の秘密結社になりつつあるのかもしれない。

   そういえば、なぜ「悪の」秘密結社なのだろう。「善(ヒーロー)の」秘密結社を立ち上げなかったわけはあるのか。尋ねると、シャベリーマンは己の過去をポツポツと語り始めた。

「もともと、剣道をやっていまして。学生時代に、ヒーローとしてアクションショーに出演していた経験があります。終演後にノートを持って自ら先輩のもとへ行き、ダメ出しや反省点を書き留めるくらい、熱心に取り組んでいたんです」

   まじめだ。しかし、そうした血の滲む努力の果てに、「アクションがあまり上手くなく、ヒーローとしてのセンスもない」と思い知った。観衆の視線をほしいままにし、舞台のセンターでスポットライトを浴びても臆さず立ち振る舞う度胸とセンスが、ヒーローには必要だという。

「ヒーローは減点方式で、本当に大変なんです。ちょっとつまずいただけでも『ヒーローなのに』と残念がられてしまう。悪役だったら、『ワハハ!ドジだな~』くらいで終わるのに」

   自分にヒーローは務まらない――。だが、そこで舞台を降りなかった。アクションショーではなく、芝居メインのキャラクターショーにおける悪役こそが、己の適所だと気づいたのだ。ヒーローを引き立て、ショーを盛り上げる、必要悪。「表舞台の裏方」を標榜する、悪の秘密結社の企業理念に出てくる言葉だ。

「正しい倫理観のもと世界に『必要悪』を提供し、キャラクターコンテンツの成長とそれらを『支える人』を支え、子供の笑顔を創造する」

   仕事でも、ツイートでも、本当の悪事は働かない。だが「正義」とは一歩引いた立場だからこそ、「多くの人が言いづらいと感じていること」を言い、見る者を笑わせ、時にハッとさせられる。ユーモアあふれる悪のマインドと、まごころがカギだ。

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