文系学部出身の「会社員兼映像作家」 創作と関係なさそうな経験が糧になる

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【作リエイターズアトリエ(通称「作リエ」)】
テレビアニメ「ポプテピピック」のゲームパートを描き、映像制作やイベント主催など、フリーランスでマルチに活躍する山下諒さん。隔週水曜夜、各分野で活躍中のゲストクリエイターや美大生を招いて、「創作」をテーマに、ツイッターの「スペース」や「オンラインセミナー」で語らう企画が「作リエ」だ。
連載では、スペースで出た話題から、エッセンスを抽出してお届けする。
未来のゲストは、今この記事を読んでいるあなたかも?

   第7回のゲストは、映像作家のはなけんさん。テーマは「文系学部卒会社員兼映像作家 創作と『関係なさそうな経験』が糧に」だ。スペースアーカイブはこちらから。

  • 「文系学部卒会社員兼映像作家 創作と『関係なさそうな経験』が糧に」
    「文系学部卒会社員兼映像作家 創作と『関係なさそうな経験』が糧に」
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人生は「総合格闘技」

   タイトルにもある通り、はなけんさんは美大や芸大、専門学校ではなく、私立文系大学の経済学部・経済学科出身。現在はコンテンツサービスを提供する一般企業で、プロダクトマネージャーとして働いている。

   そのかたわら、いわゆる「副業」的な位置づけで映像作家としても鋭意活動中。自主制作は人生で2、3回しか手がけておらず、基本は依頼に応じるスタイルだ。直近では、バンダイナムコエンターテインメントによる、音楽原作のキャラクタープロジェクト「電音部」の楽曲「You Are The Light」のミュージックビデオ(MV)を、アニメーション作家のつづつさんと共に手掛けた。

山下さん「美大や芸大で学ばずに映像制作をするって、美大出身の自分にとってはすごいこと。ルーツは何ですか?」
はなけんさん「ニコニコ動画ですね。最初に見たのがゲーム実況で、鳥の赤ちゃんかのように、(刷り込み効果で)すごい!俺もやりたい!って思いました。2011年ぐらいのことです」

   ただ、誰かのためにつくった映像としての処女作はゲーム実況動画ではなく、ボーカロイドのMV。2013年当時、高校生だったはなけんさんは、ニコニコ動画で見つけた憧れのボカロP(ボーカロイドを使って曲を制作する人)にメールを送り、「音楽が好きだから、次に投稿する曲のMVを作らせてほしい」と交渉。面識もMV制作経験もなかったが、OKをもらい、作品が世に出た。そのボカロPは、「アスノヨゾラ哨戒班」、「DAYBREAK FRONTLINE」などで知られるOrangestarさんだという。

   インターネット上に物を公開することで得られる新鮮さや楽しさを知り、それをもう一度味わいたいと、以降も独学で映像を作り続けた。大学2年の頃には個人で「仕事」を請け負っていたという。

   大学時代は、「ITゼミ」に所属してウェブサービスやスマホアプリ作りを学びつつ、軽音サークル、情報系サークルで活動。知り合った人々から多様な価値観を学び、刺激を受けたことが糧になり、今があるそうだ。

山下さん「ゼミやサークルに加え、講義を受け、映像の勉強や制作も並行していたんですよね。本当にすごい...。大学で、特に大きく学べてよかったことって何だったんでしょう?」
はなけんさん「やっぱり、さまざまな友人と出会い、価値観に触れられたことですね。自分事として捉えられる領域や感覚、変数が増えました」

   「わかる!」が増えると、世界の見え方が変わる。「昔聞いていた曲を今聞くと、全然違う曲に感じる」のが一例だという。

はなけんさん「何かに一本化するのと色々やるのと、両方メリット・デメリットがありますが、確かなのは『無駄なことは何もない』。無駄とわかったことは経験として吸収し、次にやらなければいいから」

   人生を「これまで通ってきた道や、今できることを組み合わせた総合格闘技」と表現する、はなけんさん。創作と一見関係なさそうな物事も全て己の血肉にすれば、思いもよらない形でクリエイティブに還元できる。

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