漫画「HUNTER×HUNTER」の、長きにわたる休載が終わりを告げた。2022年10月24日発売の「週刊少年ジャンプ」で連載を再開すると、同誌公式ツイッターが発表したのだ。
「彼はようやく解放されるのか」――。一部ユーザーの関心は、作者の冨樫義博さん以外にも向けられた。連載再開を待って約1000日間「正拳突き」を続けてきた、ユーチューバー「樽江 突撃」(たるえ とつげき)さんに対してだ。
2020年1月からユーチューブ配信
2018年11月26日発売の、同年52号以降休載が続いている「HUNTER×HUNTER」。
作中には、自身の武術に限界を感じた登場人物が山ごもりをするエピソードがある。この人物は、己を育ててくれた武術への感謝の気持ちを込め、毎日1万回の正拳突きを放つ。一連の修行は、ファンからは「感謝の正拳突き」と呼ばれ知られている。
同作ファンの樽江さんはこのエピソードにならい、2020年1月16日に「ハンターハンター連載再開まで一日一万回感謝の正拳突き」と題した配信をユーチューブ上で実施。翌日以降は1日1000回と回数を変え、再開を待って正拳突き配信を続けてきた。
2021年11月30日付J-CASTトレンド記事内の取材に対し、樽江さんは配信をはじめた経緯を語った。何かしらの手段で、休載期間を「補完」するようなポジティブな話題を提供したかったのだという。
22年10月11日に、再び樽江さんを取材した。計算上、配信を始めて1000日目となる。正拳突きは休むことなく続けているという。
連載再開のニュースは、「『うれしい』が一番大きい気持ち」。ただ、作者の冨樫さんは5月24日からツイッターを開始。ネームの一部とみられる写真を投稿し続けている。9月20日には、単行本最新37巻の発刊が発表されたこともあり、樽江さんは近いうちに連載が再開されると心づもりをしていたという。
また、正拳突き配信を続ける上で、自身の気持ちに波を立たせないよう心がけてきた。継続のモチベーションに影響する可能性があるからだ。10月24日のジャンプ発売まではまではあと2週間ほど。気持ちが途切れないよう、喜びの感情を抑制している部分があるという。
登録者数は7万人近くに
連載再開が決まり、樽江さんの正拳突き配信は10月23日までにやめる予定という。再開後に企画趣旨を変えて続けようにも、これまでと同様の覚悟を持って継続するのは難しいと感じているという。
配信当初は、ほぼゼロだったチャンネル登録者数。ゲーム実況など、他の配信も行なっているため正拳突きのみによる成果かは不明だが、10月11日現在は7万人近くに増えた。
2年以上にわたって正拳突きを続けるうち、視聴者からは「(体が)鍛えられたよね」とコメントが寄せられることがある。ただ、自身では特に肉体が鍛えられたとは感じていないという。むしろ、時々肘や肩の関節が痛むことがあるとのことだ。
当初は新品のように見えた道着は、擦れてボロボロになった。「願掛け」のような気持ちで着用を続けてきたが、配信終了後の処分は特に考えていないとのことだ。
「再開おめでとう」と視聴者から寄せられている祝福には、ありがたみを感じている。一方で、樽江さんとしては自分が連載再開に何か寄与したわけではないと考えているため、「同じだけ冨樫先生にも言ってあげてください」とコメントした。
休載期間中もジャンプは愛読しており、10月24日発売号も購入する予定。最初に読む作品は、もちろん「HUNTER×HUNTER」だ。