全国旅行支援スタートうれしいけれど 急激な観光需要増で困った事態が

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   全国旅行支援が2022年10月11日からスタートした。旅行に関する全国的な旅行支援は、2020年7月~12月に実施された「Go Toトラベル」以来、約1年10か月ぶり。旅行・観光業界の期待は大きい。しかし、急激な需要増で、宿泊代そのものが値上がりするなど、利用者には戸惑いもあるようだ。

  • 秋の行楽シーズンに観光客が増えそう
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約8300億円の経済効果

   全国旅行支援は、国の財源で1人1泊当たり最大1万1000円を補助する制度だ。時事通信によると、公共交通機関の利用と宿泊がセットの旅行商品は1泊1人当たり最大8000円、宿泊のみと日帰りの旅行商品は同5000円を国が補助する。さらに、飲食店などで使えるクーポンを平日は3000円分、休日は1000円分付与される。

   東京都以外の46道府県が11日に開始。東京都は20日から。期間は12月下旬までとしているが、具体的には各都道府県の判断に委ねられる。

   産経新聞によると、全国旅行支援について、大和総研は「旅行需要を大きく押し上げる効果が期待できる」とし、波及効果も合わせると計約8300億円の経済効果が見込めると試算している。同じ期間で比較した場合、「Go Toトラベル」を大きく上回る経済効果となる可能性があるという。

   11日からは海外からの観光客に対する水際対策も緩和された。日本を訪れる外国人の個人旅行が解禁されるなど、インバウンド需要の回復が見込まれている。テレビ朝日によると、斉藤鉄夫国土交通大臣は、「円安のメリットを最大限引き出すべく、集中的な取り組みでインバウンドによる目標の年間消費5兆円の達成を速やかに目指したい」と強調している。

「便乗値上げ」を疑う声も

   しかし、「旅行支援」は利用者にとってハッピーなことばかりではない、という指摘も出ている。ホテルや旅館の料金は、利用者が急増する繁忙期では値上がりすることが多い。「旅行支援」で需要が増すと、そもそもの価格自体が高くなりやすい。

   朝日新聞は10月8日、「旅行支援でホテル代が値上がり?自治体に苦情相次ぐ」「『全国旅行支援』は誰のため?」という記事を公開している。

   記事の中で、第一生命経済研究所主任エコノミストの小池理人氏は、「観光業界はコロナ禍で大きく影響を受け、赤字続きで借金を増やしている状況だ。ある程度の値上げにも社会的意義があるのではないか」と一定の理解を示す一方で、国の支援策については「こうした政策を続けていくと、個々の宿泊業者の競争力を奪い、業界全体の弱体化を招きかねない。一時的な支援にとどめるべきだ」と指摘している。

   宿泊代金の値上げについては10日、テレビ朝日の「グッド!モーニング」でも、「『全国旅行支援』宿泊施設が"便乗値上げ"?料金2.5倍に...」と、法外な値上げも目立っている実態を取り上げている。

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