受賞時に立てた誓い
時間をかければ大成し、文化発展に寄与するかもしれない声優の卵が、人知れず業界から去る可能性がある。甲斐田さんはこうした状況を見過ごせず、アクションを起こした。ただ「政治的な言動をすると、事務所や取引先から難色を示される」と声を上げない人、「制度導入に反対しても変わらない」と諦める人は少なくないと言う。
「あまり、気の利いたことを言葉で伝えられるタイプではない」と甲斐田さん。それでも、前面に立って働きかけると決めた理由には、第13回声優アワードで「外国映画・ドラマ賞」を受賞した時に立てた誓いがある。
「吹き替え文化を守って、時代に合わせて存続させ、次の時代に受け継ごうと。私にとってはその結果が、VOICTIONなんです」
人材なくして、作品は形にならない。次代の文化を支える若い芽を守るため、声を上げ続ける。