最近、「リスキリング」という言葉をよく聞くようになった。「リ」と「スキリング」が合体した新語で、「新しくスキル(技能)を付ける」「学び直す」というような意味だ。特に社会人に対し、デジタル社会やIT時代に対応できる能力を、特別の講習やトレーニングによって付与する場合に使われることが多い。
日経新聞は朝刊一面トップ
岸田文雄首相も2022年10月3日の臨時国会の所信表明演説で、この言葉を使った。
「リスキリング、すなわち成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備・・・・」「特に個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を『5年間で1億円』に拡充します」
さっそく日経新聞は翌4日の朝刊一面トップで、「リスキリングに1兆円、首相所信表明」と5段見出しでアピールした。
日経新聞のデータベースで調べてみると、この言葉が新聞記事で使われるようになったのは最近だ。過去1年間に日経で129回、朝日で13回、毎日で7回、読売で12回。その前の1年では、日経には32回登場するが、朝日、毎日、読売では見当たらない。
大辞泉の「新語大賞」でも21年は、ベスト10に「リスキリング」は入っていない。日経の20年7月の記事では「リ・スキリング」。当初は「・」付きの表示だった。