食料品や日用品の値上げラッシュが続いている。特に2022年10月は目立っている。缶ビールのように「14年ぶりの値上げ」という商品もあるが、この1年で2回目、3回目の値上げというものも多い。
物価高に反比例するかのように、岸田内閣の支持率は低下している。
目立つ再値上げ、再々値上げ
帝国データバンクは10月1日、飲料や食品の10月の値上げが6699品目になるとの調査結果を発表した。これまで年内最多だった8月の約2.6倍。平均値上げ率も今年2番目に高い16%。原材料高や円安の進行によるものだ。
身近なところでは、ビール。大手4社が、ビール系飲料や缶チューハイの価格を10月から引き上げた。4社が缶ビールを値上げするのは14年ぶり。
しかし、目立つのが再値上げや再々値上げだ。
日本テレビによると、雪印メグミルクや森永乳業は10月から、チーズなどを値上げした。今年4月以来、2度目の値上げだ。
日用品では、日本製紙は、紙コップや紙皿などの材料となる原紙を、10月から15%以上値上げ。今年1月以来の再値上げだ。
岩谷産業も、10月3日の出荷分から「カセットこんろ」を約5~20%、「カセットガス」を約15%値上げ。こちらも2度目だ。
食用油は1年余で6回
朝日新聞によると、キユーピーと味の素は、3月に続いてマヨネーズの価格を引き上げた。昨年7月にも値上げしており、この1年あまりで3回目。キユーピーによると、第1次石油危機の影響を受けた1973~74年に4回続けて値上げしたことがあり、今回は当時に匹敵するペースでの引き上げだという。
11月以降も値上げは続く。
日経新聞によると、カルビーは、「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」などスナック菓子30品の出荷価格を11月1日納品分から引き上げる。「かっぱえびせん」の77グラムと「サッポロポテト バーベQあじ」の72グラムは、店頭想定価格で130円前後から150円前後になる。
同社は6月に「かっぱえびせん」や「サッポロポテト」の値上げや、価格を据え置いて内容量を減らす実質値上げを行ったばかり。再度の値上げだ。
値上げ回数が際立つのは、食用油だ。東京新聞によると、日清オイリオグループなどが昨年4月以降、今年7月までに6回も値上げしている。
昨年来、原料となる大豆が北南米で不作だったことに加え、ウクライナ情勢の緊迫化で原料高に拍車がかかったことによるという。
買い控えに直結する可能性も
帝国データバンクが全国1401社に調査したところによると、今年1月から8月中旬までの値上げ回数は、「0回」が33.5%、「1回」が40.7%。「2回以上」が4社に1社の25.8%。中には「5回以上」も3.8%あった。
値上げは買い控えに直結する可能性もある。日本食糧新聞によると、6月に10%値上げした即席麺に関しては、売り上げが2~3割減になった卸もある。嗜好品の菓子は買い控えで数量減が目立つなど、今年の上期は、商品によっては売価上昇の影響が出ているという。
大手マスコミの世論調査では、このところ岸田内閣に対する不支持率が急上昇し、支持と不支持が逆転している。10月3日に公表された朝日新聞の調査では、「支持」40%、「不支持」50%だった。岸田首相の経済政策について「期待できる」は25%しかなく、「期待できない」は69%に達した。首相は3日の所信表明演説で、経済再建を最優先課題として強調している。