米アップルが2022年9月に発売したiPhone 14シリーズの増産計画を断念したと報じられ、関連企業の株が下落した。世界最大のスマホ市場である中国での需要低迷が原因と伝えられている。
だが、上位機種のiPhone 14 Pro/14 Pro Maxは好調であることから、悲観する必要はないとの分析もあり、強気・弱気の見方が交錯している。
ネットでは「ファーウェイ買うべき」
米金融メディアのブルームバーグは9月26日、ジェフリーズ証券の調査結果として、iPhone 14シリーズ発売後3日間の中国での販売台数が、昨年発売されたiPhone 13シリーズに比べて11%減少したと報じた。また、iPhone 14シリーズの初期出荷台数は9000万台で、アップルは最大600万台の増産を計画していたが、需要が思ったより弱いことから増産計画を断念したという。
報道翌日、アップル株は一時4.6%安となり、iPhoneに部品を供給する半導体メーカーの米クアルコム、オランダASML、製造を受託している台湾の鴻海精密工業の株価も下落した。
ただ、当の中国側では、強気と弱気の両方の見方が入り混じっている。
今年はゼロコロナ戦略による経済減速を背景に、中国のスマホ市場は縮小している。調査会社IDCによると2022年の中国スマホ市場は前年比6.5%減少する見込みで、中国メーカーのシャオミ、OPPO、vivoのいずれも2ケタ減で推移している。
決して安いとは言えないiPhone14についても買い控えが起きるとの予想があるのに加え、同機種とほぼ同時期に発売されたファーウェイのハイエンド端末「Mate 50」の評判が高く、少なくともインターネット上では、「iPhone14よりMate 50を買うべき」とのレビューが多い。中古市場、「ダフ屋」の取引相場でも、Mate50により高いプレミアムがついているという。ファーウェイは米国の規制でスマートフォンの生産に制約が出ており、Mateシリーズの発売は2年ぶりとなる。中国人消費者として、心情的にファーウェイを応援する気持ちもあるだろう。
勝負は「独身の日」の11月か
一方、iPhoneの正確な予想で知られるアナリストの郭明錤(ミンチー・クオ)氏はブルームバーグの報道に「しっくりこない」と疑問を呈した。
クオ氏は独自に調査した結果、iPhone 14 Pro、Pro Max の販売が予想より10%伸びると見込まれることから、iPhone製造工場がiPhone 14と14 Plusの生産ラインの一部をiPhone 14 Pro、Pro Max、割安感の出た旧型機種のiPhone 13に転換し始めており、トータルでは目標達成ができると判断している。
同氏は発売前から、「中国でiPhone 14は売れる」と予想しており、ブルームバーグの報道を受け入れたくないようだ。
実際、中国でスマートフォンが最も売れるのは大規模ネットセール「ダブルイレブン(独身の日)」が行われる11月であり、最新機種を一刻も早く手に入れたいコアなファン以外は、ダブルイレブンまで待つことが多い。発売半月前後の現時点で判断するのは時期尚早かもしれない。
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