古美術の美術館として有名な静嘉堂文庫美術館が2022年10月1日、東京・丸の内に移転した。リニューアルオープンの記念展として、「響きあう名宝―曜変・琳派のかがやき―」が開催されている。国宝「曜変天目(稲葉天目)」など、同館が所蔵する多数の名品が展示されている。
創立130周年で移転
静嘉堂文庫は、三菱財閥の2代目総帥・岩崎弥之助が1892年、自邸内に創設した文庫「静嘉堂」がルーツだ。古典籍や古美術の収集で知られる。
これまで東京都世田谷区岡本にあったが、創立130周年を期に、ギャラリー部門を東京・丸の内の明治生命館1階へ移転することにした。新美術館は、地下鉄千代田線二重橋前駅 3番出口に直結しており、東京駅の丸の内口からも徒歩5分、お堀端に面した好立地。アクセスが格段に便利になった。
明治生命館は、1934年竣工。昭和初期の代表的な近代洋風建築。大理石を多用した重厚な建築美の中に、高い天窓から自然光が差し込む構造だ。97年に、昭和期の建造物としては初めて、国の重要文化財に指定されている。
岩崎弥之助は明治期、丸の内でビジネス街の建設を進めたことで知られる。当時から丸の内に「ミュージアム」を造りたいと願っていたという。百余年の歳月を経て、創立者の夢が実現することになった。