ロシアのウクライナ侵攻にも関連 映画「バビ・ヤール」語るべき負の歴史

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歌詞の修正を強いられる

   「バビ・ヤール」の大虐殺は、旧ソ連の世界的作曲家、ショスタコーヴィチが1962年に発表した「交響曲第13番 変ロ短調 作品113」のテーマにもなっている。

   作品はエフゲニー・エフトゥシェンコの詩をもとにしている。バス独唱とバス合唱付きの5つの楽章からなる。第1楽章の標題である「バビ・ヤール」がこの交響曲の通称となっている。

   エフトゥシェンコの詩は、この虐殺事件に触れつつ、ソ連社会をも批判するかのような内容にもなっていた。そのため、初演は厳戒態勢で行われた。その後の公演では一時、歌詞の修正を強いられて演奏したこともあったという。

   旧ソ連ではスターリン時代に、猛烈な「粛清」で多くの人々が犠牲になった。また、1940年には、ポーランド戦で捕虜にした多数の同国将校らを殺害、カチンの森に埋めたことが後に明らかになっている。

   交響曲が発表されたのは、フルシチョフによる雪解けムードが広がっていた時期だったが、旧ソ連政府にとって「バビ・ヤール」は、自国の歴史にも跳ね返りかねない厄介な出来事だった。

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