団体旅行なんて ヤマザキマリさんの黒歴史 マンマたちの日本漫遊

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個人旅行も解禁へ

   訪日観光客は2019年に過去最多の約3200万人を記録、政府は「2030年に6000万人」という野心的な目標を掲げた。ところがコロナ過で目算が狂い、昨年はわずか25万人。これではせっかくの円安を活かせない、と旅行業界から突き上げられた政府は、近く個人旅行客の解禁に踏み切る。

   いまや欧米だけではなく、団体ツアーで「日本好き」になった中国や東南アジアの旅行者もリピーターは個人志向らしいのだ。

   ヤマザキさんが案内したイタリアの女性たちは、明るくエネルギッシュで人情に厚い。勝手な想像だが、全員が「大阪のおばちゃん」といったイメージである。そんな11人が異国を巡るのだから、先々で「事件」が起きても不思議ではない。

   それらを描くヤマザキさんの筆致も明るく元気で、漫画チック。それでいて、日本が団体旅行に頼る限りインバウンドは戻らないという厳しい現実を物語る。

   南極やアマゾンなど、いわゆる辺境ツアー以外で団体旅行を選ぶ人はそんなに多くない、とみる筆者。会話力も体力もある若い世代なら、個人で自由を満喫すればいい。あるいはイタリアのおばちゃんたちのような「押し」があれば、大抵のことはどうにかなる。

   とはいえ、子ども時代から集団行動の場数を踏んでいる日本人には、団体ツアーも捨てがたい。私は東京発着でトルコ周遊に参加したことがあるが、それなりに快適だった。添乗員や現地ガイドに恵まれたこともあるが、ホテルでの手続きや移動手段を任せきりにできる分、観光や思い出づくりに集中できた覚えがある。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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