米アップルの最新スマートフォン「iPhone 14」が2022年9月16日に発売された。特に「14 Pro」「14 Pro Max」シリーズが人気のようだ。9月22日現在、アップル公式サイトだと前者は購入後手元に届くまで「4~5週間」、後者は「5~6週間」と表示されている。
もともとiPhoneシリーズは新機種が発売されるたび、品薄が発生することで知られる。ただ、今回は背景に「円安」が影響している可能性もある。
数万円上乗せで転売に
品薄や需要の高さからか、「14 Pro」シリーズにはインターネット上で高額転売が発生している。例えば「iPhone 14 Pro」の「128GB」版の価格は、アップル公式サイトのSIMフリーモデルだと14万9800円(税込)。フリマアプリ「メルカリ」では18万~22万円を相場として数十件が出品されており、3~4万円程度上乗せして転売されている。
同機種のSIMフリーモデルの人気の高さは、スマートフォン買取業者が提示する価格にも表れている。ネット上の買取業者Aでは17万5000円、Bでは18万7000円と、やはり新品価格14万9800円を上回った買取額が提示されている。
米、中、カナダより割安
為替相場では円安・ドル高が進行中だ。そんななか、海外に比べると日本でのiPhoneの価格は相対的に安いとする声や、国外へ転売する動きも起きているのではないか、とする指摘がインターネット上の一部でみられる。
「14」シリーズの発売前、9月10日付「CNET」記事で、モバイル専門ライターの佐野正弘氏も、円安を背景とした転売ヤーによる買い占めの懸念を指摘していた。「相対的に価格が安くなった日本でiPhoneを買い、海外に転売することで利益を得ようとする動きが活発になる可能性がある」とのことだ。
ITジャーナリストの山口健太氏は9月17日付「ヤフーニュース」記事内で、 iPhone 14 Pro Maxの256GB版(アップル公式税抜16万3455円)を例にとり、日本円に換算した時の国内外の価格差を比較した。
それによると、米国では同機種は税抜1199米ドル。16日時点のレート(1ドル=142.90円)で日本円に換算すると税抜17万1337円。カナダだと税抜1699カナダドルで、16日時点のレートで換算して18万2999円。中国だと8754人民元で、日本円だと17万9107円(16日時点のレート)。単純計算だが、これら3か国よりも日本の方が割安といえそうだ。
実際、海外にiPhoneを転売する組織的な動きは実在するようだ。9月18日付FNNプライムオンラインは、東京・表参道で100台近くの「iPhone」を購入しようとした男性を襲撃したとして、中国人の男性らが逮捕された事件について報道。そのなかで、準暴力団「チャイニーズドラゴン」には、日本国内で購入したiPhoneを中国本土で転売する「シノギ」が存在すると報じている。
国外への転売が現実にどの程度起きているかは不明だが、もしも国内でのiPhone転売に加え、海外への流出の動きも活発化しているとすれば、純粋に欲しい人にとっては不快な状況だろう。