「ゼロコロナ政策」が決定打
日本の人口減をにらみ、中国市場に進出する外食チェーンは少なくない。しかし麺類については、はなまるに限らず苦戦する企業が多い。2000年代には一風堂やリンガーハットが複数店舗を展開したものの、短期間で撤退。焼きギョーザや麺類を展開する「餃子の王将」も2005年に東北部の大連市に進出して「ギョーザの逆輸出」と話題になったが、赤字が累積し2014年に現地子会社の解散を発表した。
うまくいかなかった理由の多くは、はなまると同様「現地の需要をとらえられなかった」「マネジメントの混乱」だ。麺類で数少ない成功事例が「サイゼリヤ」だが、こちらは中国でも割高なイメージのあるイタリア料理にカテゴライズされ、価格競争力があったのが成功の要因の一つと言われる。
はなまるうどんの撤退は、新型コロナウイルス流行の長期化が決定打になった面もある。「ゼロコロナ政策」を続ける中国は、感染者が出るとエリアごと封鎖され、外出や営業を制限される状況が今も続く。コロナ禍で飲食産業全体が苦境にあり、はなまるうどんの親会社である吉野家ホールディングスが展開し、中国で500店舗以上を展開する吉野家も、中国事業は不振が続いている。外食産業はどの企業にとっても、海外展開よりも足元を固める時期にあるようだ。
浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37