東京の下町・足立区北千住には、アンティークな洋館風のクリニック「大橋眼科」がある。まるで映画のセットのような見た目だとして、ツイッター上ではたびたび話題に上がる。眼科としては2021年春に閉業済みで、建物の今後を案じる声がツイッター上で出ていた。
健康食品の販売を行う地元企業「ノルデステ」(足立区)の2022年9月14日付発表によると、大橋眼科のレトロ建築は2022年夏での取り壊しが決まっている。代表の阿部朋孝氏は「大橋眼科移築再建プロジェクト実行委員会」を設立。移築、再建のため同日にクラウドファンディングを開始した。
「初代」は1917年誕生
ノルデステの発表によると、「初代・大橋眼科」は1917(大正6)年に竣工。老朽化により、1980年に初代のイメージを引き継ぐ形で再建された。このとき、当時のオーナーがガス灯や、浅草の映画館にあったレリーフなど、古建築のアンティークパーツを収集し建物に組み込んだ。
2021年秋に隣地でマンション建設の計画が立ち上がり、閉院となっていた同眼科の敷地も計画地の一部になったことで取り壊しが決まったという。
しかしマンション建設に携わる三菱地所レジデンスのスタッフが、同眼科が地域で愛されてきたことを知り「一部を千住の街に残せないか」と部材の譲渡先を探すことにした。
取り壊しをSNS経由で知った阿部氏が「大橋眼科を千住に残すためには移築しかない」と考え、三菱地所レジデンスと交渉。千住の街づくりに関心のある人が集まり、実行委員会が始動した。