木と人に合った使い方を
間伐は山地保全や自然環境の保護につながるため、補助金制度がある。ただ、「伐り出した木をどうするかは事業者に委ねられるので、伐採しても放置するか、捨てざるを得ない例がある」と浅見代表。例えば、「間伐材を使って割り箸を作ることはできる」が、手間がかかる側面が強く、大きな売り上げも見込めないという。
そこで、はしらベンチをはじめとした国産材活用に注力している。西川材ショールームには無垢材で作ったすべり台、ウッドデッキ、イス、時計、壁掛けプレートなどが置かれ、さまざまな用途があると気づかされる。
浅見代表は、「『良い木』とは、まっすぐで、節がなく、住宅づくりに都合の良い」ものだけを指すのではないと語る。木それぞれに個性があり、「いびつ」だと感じる人がいれば、「形がユニーク」と捉える人もいる。
「森や山の環境を守りながら、木と人、場面に合った使い方を提案していきたいですね。色々な木があって、本当に面白いんですよ」
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本連載の舞台となる、JR東日本新幹線統括本部「東京新幹線運輸区」社員と、デザインアドバイスを担う乃村工藝社(東京都港区)担当者が後日、西川材ショールームを訪れ、浅見代表と共に近隣の山や製材所を視察した。
JR東日本社員からは、「とにかく、木が好きになった」、「今回の気づきを、社内でも共有したいと思った」と、前向きな声が上がった。また、浅見代表から取り組みの説明や、国産材を取り巻く現状について聞き、「木材の活用について、自分に何ができるかを考えていた」と話す人もいたそうだ。
連載第三回は、西川材の無垢家具を「東京新幹線運輸区」に搬入・設置し、空間がどのように変化したか、模様をお届けする。