■連載(第2回)
第二回は、本連載において家具提供および搬入・設置を担う、西川バウム(埼玉県飯能市)浅見代表にインタビュー。家具のもととなる埼玉県の特産材「西川材」にフォーカスし、国産材活用の重要性や無垢材の魅力に迫る。
町の中で「木材乾燥中」
西川材ショールームを訪れると、浅見代表が出迎えてくれた。入口横にある木のベンチに座っている(画像1)。実はこれも、同社が手がける国産材活用の一つだ。
「『はしらベンチ』と言います。伐採した木を柱材に加工し、こうしてベンチとして使いつつ、半年ほど天然乾燥させているんです」(浅見代表)
はしらベンチは飯能市をはじめ、埼玉県の公園や図書館、市役所などでレンタル利用されており、半年に一度新しい木材に入れ替わる。酷く汚れたり壊れたりする前に交換されるので、使う側には「いつも、新しくてきれいに見える」のだ。
そのため防腐処理や、汚れ防止目的の塗装を施さなくともよく、無垢の木本来の色や香り、手触りを楽しめる。記者が西川バウムに足を運ぶにあたり、経由駅であるJR東飯能のホームに降り立った瞬間、木の香りが漂ってきたのを思い出した。構内に、数台のはしらベンチが設置されていたためだった。
製材後に乾燥させずに出荷すると、木材は内部の水分が蒸発することで収縮し、反ったり、割れたりする。機械を使って強制的に水分を抜けば、短時間で乾燥させられるが、急速な変化によって木に負荷がかかるので、素のままの色や香り、強度が損なわれやすいという。天然乾燥は時間こそかかるが、木の魅力を維持できる。