東京五輪汚職が札幌を直撃 2030年冬季五輪の招致もうムリか

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「1業種1社」ルール撤廃

   今回の汚職事件について、東京スポーツは、ラグビー元日本代表の平尾剛氏(神戸親和女子大教授)に取材している。平尾氏は、東京五輪の歪みを以下のように指摘する。

「以前の五輪はスポンサーが『1業種1社』だったのですが、それを撤廃してたくさんの企業からスポンサーを募る仕組みの採用を、IOCに働きかけたのが高橋容疑者だった。もともと『1業種1社』というルールは、商業主義の過熱に歯止めをかける制度だったはずなのに、東京五輪では撤廃され、多くの企業、団体からお金が集まる大会になってしまった」

   時事通信によると、東京五輪では、招致段階で過少に見積もった経費が肥大化。そのため、対応を迫られた組織委は、収入増のためスポンサー枠を相次いで新設した。それが口利きの余地を生んだという。

   高橋容疑者は逮捕前、「スポンサーはどんどん増やした方がいい。そうすれば税金を使わなくなる」とスポンサー企業拡大の意義を強調していた。

   当初は、「コンパクト五輪」「復興五輪」とされていた東京五輪。しかし、大会経費は約7300億円という見積りから、最終的に2倍の約1兆4200億円に膨らんだ。

   増収策がスポンサー枠の新設だった。計画になかった「出版」分野などが設けられ、専任代理店の電通は「販売協力代理店」を必要とした。国内スポンサー68社から計画の4倍に当たる約3761億円を集め、高橋容疑者の貢献は大きいとされた一方、口利きビジネスを許す結果となったと時事通信は分析する。

   30年の冬季五輪開催地は年内にも絞り込まれ、来年5~6月のIOC総会で決定する見通しだ。朝日新聞によると、札幌市の秋元市長は、東京五輪では招致段階からスポンサーを集めたのと違い、今回は招致が決まり組織委員会ができた時点で「初めてスポンサーを集める」仕組みになっているなど、透明性を強調するが、五輪への不信感と、札幌開催への逆風は当分収まりそうにない。

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