新型コロナウイルスのワクチン接種や、新たなワクチンについての報道が矢継ぎ早に出ている。ファイザー社などによるコロナのワクチンには大別して3種類ある。それらの接種や開発・承認の報道が入り乱れ、やや分かりにくくなっている。
「BA.5」にも一定の効果が期待できる
政府は現在、高齢者や基礎疾患がある人らに対し、「4回目」のワクチン接種を続けている。これは従来型ワクチンだ。オミクロン株に対する予防効果はあまり強くないとの説もあるが、感染した場合の重症化リスクは抑えられるという。4回目を接種したものの感染した岸田文雄首相も、症状は軽かった。
一方、政府は新たに「オミクロン株対応」のワクチン接種を進めることを明らかにしている。これは従来型とはワクチンの種類が違う。
この新たなワクチンは、昨冬に流行したオミクロン株の系統の一つ「BA.1」と、初期に流行した二つのウイルス株に対応した「2価ワクチン」だ。米ファイザー社と米モデルナ社がすでに日本でも、8月8日に承認を申請している。これまでのワクチンより、オミクロン株への感染を防ぐ「中和抗体価」が高くなるとされている。いま主流の「BA.5」にも一定の効果が期待できるという。
共同通信によると、厚生労働省は9月2日、このオミクロン株対応の新ワクチンについて、4回目接種の対象となっている高齢者など重症化リスクの高い人や医療従事者らから、9月半ばにも接種を始めることを決めた。つまり、高齢者らの4回目接種に使うワクチンは、まもなく従来品から新製品に切り替えられる。
加藤勝信厚労相は「製薬企業と交渉、調整して輸入が一部前倒しされることになった」と説明した。一方で、接種時期が来た人は、新ワクチンを待たずに従来品を打つことが望ましいとの認識も示した。