ゲーム機「プレイステーション5」に、新モデルが登場するとのうわさがある。「CFI-1200」シリーズと呼ばれ、本体仕様の一部に変更を加えた「マイナーチェンジ」版とされる。
PS5は、2020年11月に初期モデル「CFI-1000」シリーズが、21年8月にはマイナーチェンジ版の「CFI-1100」シリーズが登場済みだ。インターネット上の報道やツイッターでは「CFI-1200」シリーズ発売を機に、生産効率の向上を期待する意見がみられる。
「半導体変更で生産効率上がる」説
「CFI-1200」発売について、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)からの公式発表はない。
ただ、総務省公式サイトの「技術基準適合証明等を受けた機器の検索」ページを利用すると、SIEの機器として「CFI-1200 series」が22年4月8日付で「工事設計認証」を通過したと掲載されているのを確認できる。「CFI-1000」「CFI-1100」の流れを汲んだような名称で、ツイッター上では5月ごろ、これがPS5の次期モデルではないかと話題になった。
PS5は、BluetoothやWi-Fi機能により無線通信で電波を発する。通常、電波を利用するには電波法にもとづく免許が必要だ。ただ、「工事設計認証」を受けることで、利用免許の手続簡易化、あるいは不要化のメリットを受けられる。既存のPS5はこの認証を受けており、ユーザーは免許なしで遊べる。今回も新モデルの国内販売へ向け、SIEが認証を申請した可能性がある。
さらにメディアショップ「ゲオ」公式サイトで、8月29日までに「CFI-1200」の商品ページが登場。スペックなど詳細は不明だが、発売日は「9月15日」とある。
オーストラリアのゲームメディア「press start」は、すでに同国内で「CFI-1200」が流通していると報道。「CFI-1202A」(PS5通常版)と「CFI-1202B」(デジタルエディション)の説明書とされる画像を公開した。
現状、説明書からわかる旧モデルからの変更点は、本体の重量という。現行のCFI-1100シリーズと比べると、通常版では300グラム(CFI-1000と比べると600グラム)、デジタルエディションは200グラム(CFI-1000と比べると500グラム)軽量化されたとpress startは報じている。
電化製品に関するニュースを配信している英メディア「Laptop Mag」は、8月30日付記事でこの軽量化を取り上げた。PS5が、より生産効率の良い新たな半導体を採用するとのうわさがあると言及。真実ならば、PS5本体の製造効率も改善すると指摘した。
スペインのウェブメディア「hipertextual」の8月29日付記事も、PS5次期モデルには新たなタイプの半導体が搭載されるとの見方があると説明。本体の生産速度が上昇する可能性があると報じた。
仕様変更が供給にどう影響
ゲーム業界に詳しい東洋証券のアナリスト・安田秀樹氏に取材した。「CFI-1200」での仕様変更が、供給改善につながる可能性は低いとみる。
一般的に、採用されている半導体に変更があれば、本体の大きさも変わると安田氏。ネット上の情報から判断するに、現状はPS5の本体サイズに大きな変化はないと認識しているという。
現行モデルの「CFI-1100」登場時には、本体の冷却機構の仕様に変更があったとされている。今回の「CFI-1200」でも「軽量化説」が本当であれば、主な変更点は半導体ではなく、冷却機構に使用しているアルミや銅素材の削減ではないかと推測した。
一方で、新モデルでの仕様変更とは別に、今後PS5の供給自体は改善していくとの見解を示す。
現在、世界的な半導体不足は解決へ進むと考えられているという。ソニーではないが、ニンテンドースイッチのメーカーである任天堂は8月3日の決算発表で、「(半導体部品などの調達について)夏の終わりから秋にかけて徐々に状況は改善する見込みで、年内の生産見通しは立ちつつあります」と説明していた。
こうした背景から、安田氏は「よほどのことがなければ、(PS5の供給は)今後増えてくるはず」と語った。