近ごろ市販の「チューナーレステレビ」に大型のモデルが増えてきた。地上波チューナーを外した映像機器だ。テレビ放送ではなく、インターネットに接続し、動画配信サービスを楽しめる。
家電量販店「エディオン」が2022年8月26日に発売した「4K対応液晶 チューナーレススマートテレビ」は、43V型に加え50V型を用意している。
「65型」も?
「チューナーレステレビ」が大きく話題になったのは、ドン・キホーテが21年12月10日に発売した「AndroidTV 機能搭載チューナーレス スマートテレビ」がきっかけ。ツイッター上ではNHKが映らず、受信料を払わずに済むテレビとして話題になった。サイズは当初、42V型と24V型だった。
また液晶テレビを製造している「ユニテク」(東京都練馬区)は22年5月11日に「アンドロイドモニターテレビ」を発売。こちらも、32V型と43V型の2種類だ。続くように、「エディオン」は6月13日に応援購入サービスマクアケ上で「43V型チューナーレスTV」を発売。
「SmartTV,inc.」(東京都)は7月15日に「43V型4K SmartTV」に発売するなど、大きくとも43インチというのが主流だった。
メディアショップ「ゲオ」は7月21日にASTEX社の「4K/HDR対応チューナーレス スマートテレビ」から43V型と50V型を発売。上述のドン・キホーテは8月19日に新たに「AndroidTV機能搭載 4K チューナーレス スマート TV」で43V型と50V型をリリースした。
生活関連用品を企画・販売しているドウシシャ(大阪市)も、7月下旬に「ORION AndroidTV搭載 チューナーレス スマートテレビ」から50V型モデルを発売している。
さらに大型の機種も登場しそうだ。家電製品を製造している「アペックス」(金沢市)公式サイトには、「65型 4Kパネル使用ウルトラハイビジョンチューナーレスTV」が掲載されている。8月31日現在、「近日発売予定」とある。
チューナーレステレビが持つ「可能性」
続々と複数メーカーが参入し、新たなサイズも登場している背景には、それだけチューナーレステレビの人気が高まっている可能性がありそうだ。
22年8月9日付日刊スポーツ(電子版)は、「チューナーレステレビ、想定以上に売れてます」と題した記事を公開。それによると、ゲオのチューナーレステレビは発売後10日間で計1000台以上を売り上げた。またドウシシャは6月下旬にも24~40型のチューナーレステレビ3機種を発売していたが、同社広報は記事の取材に対し「まだ集計されていませんが、想定以上の売れ行き」と話したとのことだ。
インターネット掲示板上では8月9日、この記事が話題に。今後はチューナーレステレビが普及することで、地上波を見る人が減るのではないかとする声が複数みられた。また「これ民放も危機だろう」「民放含めてTV離れ急加速だな」と、NHKに限らず他の放送局にとっても手痛い状況となるのではないかと推測する声は多かった。
総務省の「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会(第12回)」(6月24日開催)配布資料では、同検討会がチューナーレステレビについて考察している。
チューナーを搭載せずネット上の動画配信サービスのみを視聴できるとの特徴に触れ、「視聴者の視聴環境に大きな影響を与える可能性が考えられる」と指摘した。