国葬「反対」が増える
戦前は「国葬令」という勅令が国葬の根拠となっていた。しかし現行憲法の施行に伴い失効した。つまり、今は国葬を直接定めた法律が存在しないため、今回の国葬については国民の間でも賛否が分かれている。
NHKの7月の世論調査では、政府が「国葬」を行う方針について、「評価する」が49%、「評価しない」が38%だったが、8月の調査では「評価する」が36%、「評価しない」が50%と、「評価しない」が上回った。10ポイント以上の差がついている。この傾向は、他の大手メディアの世論調査でも概ね共通しており、ネットアンケートなどではさらに差が開く場合が多い。
時事通信によると、松野博一官房長官は26日の記者会見で、安倍晋三元首相の国葬が行われる9月27日に、過去の首相経験者の葬儀で行われてきた「弔意表明」を各府省に求める閣議了解を見送る方針を明らかにした。国葬をめぐる世論の賛否が割れていることを踏まえたという。
ビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一さんは、「プレジデント」(2022年9月2日号)で、「首相経験者は一律で『国民葬』にしたらいいと思っている。また、国費を使うのではなく、今ならクラウドファンディングで国民から寄付を募ればいい」と語っている。