すでに「新型コロナ肺炎」ではない
オミクロン株では、死者の数に比べて重症者数が少ないという問題は、すでに第6波の時から指摘されていた。
NHKのまとめによると、第6波では22年2月17日、死者271人に対し、重症者は1469人。ところが、デルタ株による第5波で死者が最も多かった2021年9月8日、死者89人に対し、重症者は2211人だった。第6波では70代以上の死者が9割を占め、第5波の7割を上回っていた。
デルタ株は「肺炎」という形で全世代を襲った。しかし、オミクロンは「肺炎」がなくても、高齢者にとっては「持病の悪化」というリスクが高い。しかもそれは短期間で進行する。その結果、「重症者」として把握される前に亡くなっている高齢者が多数存在している可能性があることが分かっていた。
このため、東京大学大学院情報学環准教授の伊東乾さんは2月10日、「実は死亡者の多いオミクロン株、軽症・弱毒は大うそ」という論考をネットメディア「JBpress」で公開。
オミクロン変異新型コロナウイルス感染症は、すでに「新型コロナ肺炎」ではないと分析し、「この病気は、生活習慣病など多様な合併症、既往症と相俟って、第5波以上に高い致死率を示しており、永続する後遺症も懸念される、別種の疾病になっている」と指摘。
したがって国は、新型コロナウイルス感染症の診断基準を、抜本的に再検討する必要があると強調していた。