長崎県では今、島原手延べそうめんを自動販売機で買うのが流行っているらしい――。
「島原手延べ 黒ごまそうめん」を販売しているセテラ(長崎県島原市)は2021年5月、島原市下川尻町に世界初(同社調べ)の「黒ごまそうめん自販機」を設置。同年8月には福岡市や長崎県佐世保市にも展開した。
新型コロナウイルス「BA.5」による第7波が押し寄せるなか、非接触型でいつでも購入できるのが好評の理由。黒ごまそうめんに慣れ親しんでいる長崎県人にとって自販機は、いまやなくてはならない存在となりつつあるようだ。
丹念な手延製法
日本の名水100選に選ばれ、至るところで水が湧いている水どころ、島原市内の湧水の1日の水量は約22万トンともいわれ、その良好な水質はそうめんの製造工程でも利用されている。
島原手延そうめんはまず、その日の気温、湿度を考え小麦、塩、水を練り合わせ団子を作り円盤状につぶす。それに綿実油をぬり、ひねりを入れながら数回伸ばす。5ミリメートル程度に細くなった麺を2本の棒でさらに伸ばし、翌日には長さ3メートルくらいになるまで伸ばし、吊り下げて5時間程干す。干し終わった麺は、均一の長さに切り揃えられるという。丹念に作られる島原手延そうめんは、まさに伝統の職人の技だ。
古くは江戸時代より伝承された、そんな島原手延そうめんの新たな味が、セテラの「島原手延べ 黒ごまそうめん」。島原手延べそうめんの技術を生かし、国産の厳選した中・強力粉を100%使用した麺に、粗びきの黒ごまをたっぷりと練り練り込んだ。コシの強さは抜群で、プチプチ感覚とごまの風味、つるつるとしなやかな喉ごしが特長という。
九州の麺どころ、島原でひときわ目立つ「島原手延べ黒ごまそうめん」。しかも、世界初の「そうめん自販機」が長崎では定番となってきたようだ。
猛暑が続くなか、長崎県島原市では「流し 黒ごまそうめん」が大盛況で、ひとときの涼と栄養補給に、自販機で「黒ごまそうめん」を買い求める人が後を絶たない。