東京・新宿エリアには、落語に関連した施設が複数ある。うち2か所が近ごろ、業績の悪化を理由にクラウドファンディングの実施を表明している。
ひとつは、西武新宿駅付近に所在し、落語や演芸を専門とするCDショップ「ミュージック・テイト西新宿店」。もうひとつは、新宿三丁目駅エリアにある寄席「新宿末廣亭」だ。
「ずっとお世話になっていた場所」
ミュージック・テイトの公式通販サイト「落語くらぶ」によると、同店は「戦後まもなく」から続く老舗レコードショップ。落語・演芸関連のCDやDVDは約3000タイトルに及ぶという。
店舗ツイッターのプロフィールによると、独占販売商品や落語家の自主製作CDも扱う。また店舗内では「ぶら~り寄席」、別会場では「亭砥寄席」と、寄席の開催も独自に行なっている。
同店は2022年8月9日、「CDの売り上げが激減して閉店の危機に陥っていますが、クラウドファンディングで店を存続させたいと思います」とツイート。詳細は「来週中」に知らせるとし、協力を呼びかけた。これに対し、講談師の神田伯山さんが反応。「CD買いに行きます。ずっとお世話になっていた場所」とメッセージを寄せている。
新宿末広亭はコロナ禍で収入激減
ミュージック・テイトのツイートに対し、近ごろ同じくクラウドファンディングを実施している新宿末広亭を連想し、新宿における落語関連施設の状況を案じる声が一部でみられる。落語を中心として、漫才や太神楽といった演目を楽しめる寄席の老舗だ。
末廣亭公式ツイッターが5月17日に投稿した説明資料によると、同施設は新型コロナウイルス禍により収入が9割減少。直近の2年間は売上が回復せず、赤字が続いているという。2021年にクラウドファンディングを実施し、1億円以上の寄付が集まったが、苦境が続いている。
そこで再度クラウドファンディングを実施するに至った。新宿末廣亭の席亭・真山由光さんの名義で、「末廣亭を存続させたい」とつづっている。1万円の支援であれば「千社札」2枚と招待券1枚を、10万円の支援には場内への支援者名の掲示(1年間)に加え、千社札2枚と招待券5枚がもらえるなど、支援のコースや返礼品は何種類か用意している。
7月27日には、新宿末廣亭が実施しているクラウドファンディングと、8月公演の日時指定の入場料をセットにした「末廣亭クラウドファンディング付チケット」を発売している。支援は8月31日まで受け付けている。