ソニーグループの2022年度第1四半期(4~6月)業績発表における補足資料を見ると、この期間は「プレイステーション(PS)5」と、前世代機・PS4用それぞれのゲームソフトの販売数が前年同期より25%以上減少したことが分かる。
ツイッター上では、PS5本体が「転売屋」の手元にあり、ユーザーに行き届いていないからソフトが売れていないのではないかとの意見がある。
外出機会増加も背景に
ソニーの資料によると、2021年4~6月のPS4、PS5ソフトの売り上げは6360万本で、22年度同期は4710万本。約25.9%減だ。
PS5事業やゲームサービスを含む「ゲーム&ネットワークサービス」分野では、ソフト販売減少やソフト開発のコスト増加を理由に、通年での営業利益の見通しを5月時点の3050億円から2550億円に引き下げた。
4~6月のPSユーザーの総ゲームプレイ時間は、前年同期から15%低下したという。ソニーは、「コロナ感染縮小により外出機会が増加し、ゲーム市場全体の成長が足元で減速していることにある」と資料内で原因を説明している。
ソフトの販売減については、ソニーグループ副社長の十時裕樹氏が今回の業績説明会内の質疑応答で説明。この時期はコロナ感染が縮小したことで外出機会が増加したことと、前年度同期に比べて大型タイトル(注目を集めているゲームソフトのこと)の発売数が少なかったことが要因だとした。
ゲーム業界事情に詳しい東洋証券のシニアアナリスト・安田秀樹氏に取材した。PS5本体の転売によって「(ソフト売り上げに)若干の影響は出ている」とみる。ゲーム機の出荷後ユーザーが本体を手にし、ソフトを購入するまでの間に転売屋が介在することで、「時間差」が生まれるからだ。ただ最終的にはユーザーに行き渡るため、長期的には影響が大きいわけではない。
一方、転売屋の存在だけでは説明がつかないほどにソフトの売り上げが落ちているとも、安田氏は仮説として、1つの要因に「データ容量」をめぐる問題が、ユーザーの購買意欲を削いでいる可能性があると話す。
PS4とPS5のソフトは、ディスク版、ダウンロード版ともに、ゲームプレイに必要なデータを本体にインストールして遊ぶ。安田氏によると、正確なデータがあるわけではないが、PS4版ではデータ量が50GB前後のソフトが多かったが、PS5では100GBに達するものが増えている。
PS5は本体のストレージ容量は「825GB」で、PS4の一般的なモデルの容量は「500GB」だ。ソフトの容量増加に比べて、本体の容量があまり増えていないという。新規ソフトをインストールする余裕がゲーム機になく、ソフトが買われづらくなっているのではないかと指摘する。