ペロシ議長は米大統領、副大統領の次 日本の首相にもしもの際は誰が代行?

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   米国のペロシ下院議長が台湾訪問を終えて2022年8月4日、来日した。議長は、米国大統領が死亡した時などの継承順位が副大統領に次ぐ位置にある実力者だ。

   では、日本で、首相にもしものことがあったときは、どのような継承順位になっているのだろうか。

  • 「内閣総理大臣の臨時代理」は、内閣法に定めがある
    「内閣総理大臣の臨時代理」は、内閣法に定めがある
  • 「内閣総理大臣の臨時代理」は、内閣法に定めがある

野田氏が閣議主宰

   首相官邸のウェブサイトに、「内閣総理大臣の臨時代理」について記されている。それによると、内閣法で、内閣総理大臣に事故のあるとき、又は内閣総理大臣が欠けたときは、その予め指定する国務大臣が、臨時に、内閣総理大臣の職務を行う (第9条)と定めている。この規定による指定を受けた国務大臣が、内閣総理大臣が海外出張や病気等により職務遂行ができない場合の職務代行者となる。

   現在の第二次岸田文雄内閣では、継承順位の1位が松野博一官房長官、2位が野田聖子特命(男女共同参画など)担当相、3位が林芳正外相となっている。

   実際、野田氏は8月2日に閣議を主宰している。これは、岸田首相が米国を訪問中で、しかも継承順1位の松野氏が新型コロナに感染していたためだった。

   安倍晋三内閣と菅義偉内閣では、長く麻生太郎財務相が、継承順位1位で、「副総理」と呼ばれていた。

   過去に、実際に一定期間、首相を代行した人としては、岸信介氏(石橋湛山首相の病気による)、伊東正義氏(大平正芳首相の急死)などの例がある。

米中の認識が噛み合わない

   日本では以上のように、「首相代行」は国務大臣から選ばれているが、米国はやや事情が異なるようだ。そのことが、ペロシ議長の台湾訪問を大ごとにしている、との指摘もある。

   ハフポスト日本版は3日、「噛み合わないアメリカと中国の認識。『三権分立』めぐりすれ違い」という記事を配信。「バイデン政権は『三権分立』のもと、下院議長であるペロシ氏の行動をコントロールできないと説明していたが、中国はこの理屈を受け入れていない」と説明している。

   同記事によると、バイデン氏は7月20日の時点で、ペロシ氏の訪台について「今は、米軍は良いことだとは考えていない( the military thinks it's not a good idea right now)」とこぼしている。一方で、「三権分立」の原則のもと、大統領が下院議長のペロシ氏の行動をコントロールすることはできないという事情もあったという。

   しかし、中国側はこの理屈を跳ね除けた。中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道局長はツイッターで「アメリカ議会は政府の一部(part of the US government)であり、政府の外交方針を遵守するべき」「非公式の行動とは言えない」などと主張したという。

   つまり、ペロシ議長が、継承順位が副大統領に次ぐ位置にあることから、「政府の一員」と見なしている。

韓国大統領は休暇

   ペロシ氏の台湾訪問は日本や韓国にも影響が及んでいる。

   韓国・中央日報日本語版は3日、「日本の首相と違いペロシ議長と会わない尹大統領」という記事を掲載している。ペロシ議長は4日に金振杓(キム・ジンピョ)国会議長と面談する予定だが、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領とは会わないという。大統領はソウルにいるが、「休暇中」だという。

   同紙によると、「ひとつの中国」の原則を尊重する韓国政府は1992年に中国と修交しながら台湾とは大使級外交関係を断絶した。現在台湾には大使館ではなく代表部を設置して間接的関係を結んでいる。韓国の貿易相手国は輸出、輸入とも中国がトップ。台湾はベスト5位に入っていない。

   ペロシ議長は5日朝、岸田首相と会談した。

   4日の朝日新聞によると、経済的な報復措置の影響が日本にも及ぶ可能性があるという。同紙の取材に大和総研シニアエコノミストの神田慶司氏は、日本の製造業の部品調達は中国への依存度が高く、中国が関税や貿易量で制限をかければ、日本にも大きな影響が出ると懸念している。

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