新型コロナウイルスの感染が拡大し、保健所や医療現場がひっ迫している。そうした中で、現在の「2類相当」の扱いを見直す論議が高まっている。これまでの「2類」か「5類」かという単純な分け方ではなく、「手厚い5類」への移行を検討すべきではないか、という指摘も出ている。
「PCR検査が2万円」
新型コロナウイルスは、感染症法で、厳しい感染対策が行われる「2類相当」に位置付けられている。結核やSARSと同じ扱いだ。感染者数は全数把握、対応する医療機関は発熱外来など一部に限定される。費用は公費負担。感染拡大防止のため、政府が行動規制をかけることもできる。
これが、インフルエンザと同じ「5類」になると、直ちに全数把握する必要はなくなり、近所の医院での診察が可能になる。行動規制もないが、費用は基本的に自己負担となる。
現在は、公的に感染の全容を把握し、感染拡大を抑える必要があるため、一部の医療機関に感染者が集中し、それが保健所や医療機関の業務を圧迫しているとされる。
しかし、「5類」に格下げした場合の懸念はいくつもある。最大のものは費用だ。
「大阪市立総合医療センターによると、コロナ診療が自己負担になった場合、発熱外来でのPCR検査が2万円(3割負担で6000円)、基礎疾患のない人が中等症で5日間入院した場合の費用は、22~27万円(3割負担で7~8万円)前後かかるとのことです」(8月2日放送のカンテレ「報道ランナー」)
共同通信によると、国が負担しているワクチンの購入費用は全国への配送料などを含めて1回当たりの平均で約2700円。これとは別に、医療機関に支払う接種費用が1回当たり平均3700円程度かかっている。
「抗体カクテル療法」で話題になった点滴薬「ロナプリーブ」は、重症化リスクのある軽症・中等症患者に1回投与すると、31万円だ。菅義偉前首相が明かにしている。後遺症で長期間、通院を余儀なくされると、さらに医療費が膨らむ。