新型コロナウイルスの第7波がまだピークを迎えていないのに、早くもオミクロン株の新たな変異株が登場している。「BA.2.75」。これまでよりもはるかに強い感染力を持つという。SNSなどでは、「ケンタウロス」という別称が付けられている。
5月にインドで発見
NHKによると、「BA.2.75」は2022年5月にインドで初めて報告され、いまでは世界の21か国で見つかっている。国内でも最近、東京都や神戸市などで確認されている。
インドでは、今年5月の時点では感染者数や死亡者数が低い水準だったが、その後、増加傾向に転じた。「BA.2.75」の拡大が影響している可能性も指摘されている。
「BA.2.75」は、今年6月ごろまで日本で主流だった「BA.2」の派生型。
「ケンタウロス」は、ギリシャ神話に出てくる上半身は人、下半身は馬の怪物だ。「BA.2.75」が、「BA.2」と「BA.5」の両方の特徴を持っているので、このような呼び方をされているようだとNHKは解説している。
「中和抗体」から逃れやすい
FNNによると、「ケンタウロス」は、「BA.2」系統から変異した75番目の亜種。これまでも、「BA.2」系統の亜種はあったが、誕生しては消えていった。その中で「BA.2.75」は生き残り、勢力を拡大しつつある。
大きな特徴は感染力の強さだ。まだ詳細は不明だが、従来のオミクロン株の約3倍ともいわれている。朝日新聞によると、治療薬やワクチンの効果、感染しやすさに影響するスパイクたんぱく質に、BA.2系統からさらに8カ所の変異が入っている。
この変異によって、ワクチン接種で体内につくられ、ウイルスの感染を防ぐ効果のある「中和抗体」から逃れやすくなっている可能性があるという。
NHKや時事通信によると、京都大学の西浦博教授は7月27日、厚生労働省の専門家会合後の会見で、今後「BA.2.75」がさらに増えた場合の影響について、「第7波がピークを越えたあとに再び上昇したり、流行が長引いて医療がひっ迫したりすることが想定される」とコメント。「第7波はBA.2.75系統に置き換わりながら進展する可能性がある」と分析している。