新型コロナウイルス第7波で、感染が爆発的に拡大している。東京都では2022年7月28日、新規感染者が4万人を超えた。
第7波では、子どもの感染も増えている。28日には、静岡県で3歳児の死亡が報じられた。子どもをコロナから守るにはどんな注意が必要なのだろうか。
6日目に体調が急変
静岡第一テレビによると、亡くなったのは沼津市の3歳の女の子で、7月中旬に発熱とせきの症状が出て医療機関を受診した。
家族内に陽性者がいたが、女の子は抗原検査では陰性だったため、みなし陽性として経過をみていたという。
発症から6日目に体調が急変し、救急搬送中に心肺停止状態となり搬送先の病院で亡くなった。
その後の検査で新型コロナの陽性が確認された。
県によると新型コロナによる心筋炎の可能性が高いという。新型コロナの感染者は非常にまれに心筋炎を起こすことが確認されている。
女の子は「周期性発熱」という一定の間隔で発熱をする基礎疾患があったが、心筋炎との関係は分かっていないという。
全国の感染者は10代が最多
NHKは7月20日、子どもの感染状況と、気をつけるべき点などをまとめている。
それによると、12日までの1週間で全国の感染者は10代が最も多く、全体の16.2%、10歳未満が15.6%と子どもの感染が目立っている。全国の保育所などの児童福祉施設で、11日までの1週間に確認されたクラスターなどの数は、前の週の2倍近い109件にのぼっている。
東京・港区の母子医療の専門病院、愛育病院では7月に入って子どもの入院患者が増え、19日の時点で21ある小児科の病床がすべて埋まっている。
愛育病院小児科の浦島崇医師はNHKの取材に、「入院病床は満床が続いていて退院するとすぐ次の子どもが入る自転車操業のような状況になっている。外来や救急もひっ迫していて都内の小児医療はこれまでで最も厳しい状況に置かれていると感じている」と語っている。
合併症が怖い
愛育病院では、高熱が出るなどして、水分がとれずに脱水症状が懸念されるため入院する子どもが多いという。19日、新型コロナで入院した生後3か月の男の赤ちゃんは40度の発熱とおう吐の症状が出てミルクが飲めなくなり、点滴を行った。
このほか発熱などを訴えて外来を訪れる子どもも増えていて、先週は多い日で200人近くが受診した。一度にこれほど多くの子どもが受診したことは過去に例がないという。
特に怖いのは、合併症だ。ANNは7月15日、「子どもの感染に限っては、心配な合併症を引き起こす危険もあります」と注意を呼び掛けている。
長崎大学病院小児科・森内浩幸教授は、ANNの取材に、「小児多系統炎症性症候群は、感染した子どもの1%が亡くなる病気。ですので、結構重たい病気ということになります。平均年齢が8、9歳ぐらい。10代になって起こることもある」と解説。
国内では、数か月前の段階で、20人ほどの患者が確認されている。そのため、日本小児科学会などはチームを立ち上げているという。
飲めるものを飲ませる
静岡第一テレビによると、静岡県では、子どもに発熱やかぜの症状に加えて以下の状態がある場合医療機関に受診の相談を呼び掛けている。
(1)1歳未満
(2)通院中の病気がある(基礎疾患がある)
(3)ぐったりしている
(4)下痢やおう吐があり、おしっこが少ない
(5)けいれんした、ぼーっとして反応がない
(6)呼吸が速い 息が苦しそう
(7)顔色が悪い(白い、青い)
また、愛育病院小児科の浦島崇医師はNHKの取材に、「エアコンで涼しい状態を保つこと、何でもいいので飲めるものを飲ませることに注意してあげてほしい。尿の量がいつもの半分くらいになっても飲み物を飲めないような状況があれば医療機関に相談してほしい」と語っている。