女同士の付き合い 桐野夏生さんは「お互い様」を重視する

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3人で十分?

   「友だちづきあい」特集の冒頭には、編集部によるこんなリードが置かれている。

〈年を重ねて人間関係がわずらわしいと感じている人も多いでしょう。けれど、気心知れた友だちがいると生活が豊かになることも確か。本当に大事な縁だけを見極めて、互いに負担にならず、ときに支え合える関係を築きたいものです。さまざまな友だちのあり方から、心地よくつきあえるヒントを探りました〉

   婦人公論だから、中高年の女性同士という前提か。その切り口で寄稿を頼まれたのが、昨年、女性初(!)の日本ペンクラブ会長に就いた桐野さんである。二十代で結婚出産を経験、三十代に小説を書き始め、ミステリーの人気作家になった。

   作家という、いわば典型的な自由業における交友関係だから、一般化は難しいかもしれない。それでも「支え合い、時に傷付けあってこその友人関係」という結論は広く受け入れられるものだ。出会った時は主従や師弟でも、やがて対等の関係で熟成していく。キーワードは「お互い様」かもしれない。

   それにしても、その死によって自分の半生が喪(うしな)われたと記すほどの親友とは、うらやましくもある。どれほど大切な人だったかは、いざという時の喪失感が物語るのだ。最近どこかの雑誌の「老後特集」で、友人は3人もいれば十分という見出しを見た覚えがある。なるほど、つきあいは男女とも量より質である。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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