小麦の国際価格が下がっても 日本は高値のままかもしれない特殊事情

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   ウクライナとロシアの間で、小麦輸出が合意に達したことで、国際価格の下落に拍車がかかっている。しかし、小麦の輸出入の仕組みは複雑で、日本国内のパンやうどん価格に直ちに反映されるものではないようだ。

  • パンやうどんの価格は、簡単には下がらないかも
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「回廊」開設で合意

   ロシアとウクライナは2022年7月22日、ウクライナの港から穀物を輸出する「海路の回廊」をつくることで合意した。黒海からボスポラス海峡を経由して地中海に通じるルートだ。

   ウクライナは小麦など穀物類の世界有数の生産国。しかし、ロシアの軍事侵攻で、諸外国への輸出が大きく滞っていた。

   この合意を好感して23日、世界の商品相場を左右する米国・シカゴ商品取引所の小麦先物価格は6.29%も下落した。日経新聞によると、「ウクライナの穀物輸出の再開合意を受け、供給不足の解消を期待する売りが出た」とのことだ。

   同市場の小麦価格は、ロシアのウクライナ侵攻後に急騰。世界的に食料不安が高まっていた。

   ブルームバーグによると、その後、米国小麦の作付けが早まったことや、ロシアが輸出再開に前向き姿勢を示していたことなどから、国際価格は下落基調になっていた。まだ不確定な要素は多いものの、7月23日の急落で、ロシアのウクライナ侵攻前の水準に戻りつつある。

カギは海上輸送運賃と為替

   では、日本の小麦やパン、うどんなどの価格も下がるのか。ことはそう単純ではないようだ。

   日本は小麦の大半を米国、カナダなどから輸入している。商社が輸入し、政府が全量を買い上げ、製粉会社に売り渡す仕組みだ。売り渡し価格は年2回、4月期と10月期に改訂される。過去半年の平均輸入価格をもとにしている。このため、現在の価格だけではなく、国際価格が急騰していた時期の値段も反映される。

   日清製粉のウェブサイトによると、政府の小麦の売り渡し価格は、実際には小麦の国際価格、海上輸送運賃、為替の三要素で決まる。原油価格の上昇で運賃は高値のまま。さらに恐ろしいのが為替だ。

   7月14日の朝日新聞によると、商社担当者は、次回10月の政府の売り渡し価格は「何もしなければ20~25%上がる」と予想している。25%のうち15%分が円安の影響、10%分が小麦の需給ひっ迫による影響と見積もっている。つまり、次期は小麦本体よりも円安の打撃の方が大きいという。

   今年3月9日に発表された4月期の売り渡し価格は、17.3%の引き上げとなり、過去2番目の高値だった。

   4月期の価格には、3月第一週分までの購入価格しか反映されていなかった。9月上旬発表予定の10月期(9月上旬発表予定)には、ロシアのウクライナ侵攻後に高騰した国際価格が本格的に反映される。それだけに、価格がどうなるのか注目されている。

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