カギは海上輸送運賃と為替
では、日本の小麦やパン、うどんなどの価格も下がるのか。ことはそう単純ではないようだ。
日本は小麦の大半を米国、カナダなどから輸入している。商社が輸入し、政府が全量を買い上げ、製粉会社に売り渡す仕組みだ。売り渡し価格は年2回、4月期と10月期に改訂される。過去半年の平均輸入価格をもとにしている。このため、現在の価格だけではなく、国際価格が急騰していた時期の値段も反映される。
日清製粉のウェブサイトによると、政府の小麦の売り渡し価格は、実際には小麦の国際価格、海上輸送運賃、為替の三要素で決まる。原油価格の上昇で運賃は高値のまま。さらに恐ろしいのが為替だ。
7月14日の朝日新聞によると、商社担当者は、次回10月の政府の売り渡し価格は「何もしなければ20~25%上がる」と予想している。25%のうち15%分が円安の影響、10%分が小麦の需給ひっ迫による影響と見積もっている。つまり、次期は小麦本体よりも円安の打撃の方が大きいという。
今年3月9日に発表された4月期の売り渡し価格は、17.3%の引き上げとなり、過去2番目の高値だった。
4月期の価格には、3月第一週分までの購入価格しか反映されていなかった。9月上旬発表予定の10月期(9月上旬発表予定)には、ロシアのウクライナ侵攻後に高騰した国際価格が本格的に反映される。それだけに、価格がどうなるのか注目されている。