週の真ん中に
ブレイディさんの新連載。「心を溶かす、水曜日」というタイトルから察するに、掲載誌の主な読者層である働く女性たちを励まし、癒すことを期待されているようだ。タイトルのわきには、〈がんばったのにまだ週の半分...。ため息が出そうな水曜日のあなたを解放するエッセイ連載〉とある。
本作の終盤にも「週の真ん中の水曜日が来たら、ガチガチに固まりかけた心に丁寧にオイルを塗って、役割の型枠から出して解放してあげよう」という助言が出てくる。
働く女性の境遇が、男性より「ややこしい」ことは想像できる。理由は、妊娠・出産という時間的「ハンディ」と、この国で著しい物心両面のジェンダーギャップである。昨今ではそれに、なかなか上がらない賃金、非正規の不安定といった男女共通のマイナス要素が加わる。シングルマザーともなればなおさらだ。
ブレイディさんはそんな現状に対し、エッセイストとして出来る限りのエールを送ろうというのだろう。役割に忠を尽くすか、生身の人間を大切にするか...これは生きている限り、どんな人にもつきまとう問いである。確かに「自分を大切に 人間を大事に」という結論は、今の日本社会に最も必要なメッセージだと思う。
湿布にせよオイルにせよ、貼りたい場所、塗るべきところが多すぎる。
冨永 格