円安を背景に、日本では今月(2022年7月)に入って「iPhone 13」が値上げされ、最も安価な「iPhone 13 mini(128GB)」すら、通信キャリアの販売価格が10万円を超えた。
一方中国では、既に「iPhone 14」の生産準備が本格化している。中国・台湾メディアの報道やアナリストの分析によると、iPhone14はカメラや高速充電機能のアップデートに伴い、発売価格はiPhone13を大きく上回るが、それでも好調に売れそうだという。
工場は従業員紹介でボーナス12万円
iPhoneの世界最大の組み立て拠点である鴻海精密工業(フォックスコン)の鄭州工場は、2022年6月末から工員の募集を拡大している。同社の求人情報によると、既存従業員が新しい工員を紹介すると6000元(約12万円)の紹介ボーナスを受け取れる。入社した人は5400元(約11万円)の支度金が支給され、かつて働いていた人は当時の給与水準で復職できる。
工場は既にiPhone 14の一部パーツの生産に入っており、8月にはデバイス全体の組み立てが始まるという。
現時点で多くのメディアが、米アップルが9月に6.1インチの「iPhone 14」と「iPhone 14 Pro」、6.7インチの「iPhone 14 Max」「iPhone 14 Pro Max」の4機種を発売すると予想している。また、特にハイエンドモデルで外観、カメラ、高速充電が大幅にアップグレードされるとのリークが多く寄せられている。
機能のアップグレードに伴い価格の上昇も指摘され、欧米の複数メディアが、「iPhone 14シリーズの価格はiPhone 13より100ドル(約1万4000円)値上げされる」と報じている。中国では、iPhone 14 Proが8999元(約18万円)~、iPhone 14 Pro Maxが9999元(約20万円)~との予想が広がっている。
ネックは価格より半導体不足か
10万円どころか、ハイエンドモデルだと20万円をつけそうなiPhone 14。だが、「iPhoneの予言者」と呼ばれる著名アナリストの郭明錤(ミンチー・クオ)氏ら複数の専門家が、「中国ではiPhone13以上に売れるだろう」と見ている。
郭氏は、中国の小売業者や転売業者、部品サプライヤーや物流関係者に対するヒアリングを基に、2022年のiPhone 14の出荷台数を9000万~1億台と見込み、中国市場での需要の強さが、アップルの業績に大きく貢献すると分析している。鴻海が従業員採用を強化しているのも、需要の固さが背景にあるようだ。
ただ、昨今の半導体不足で初期の出荷台数が減少するとの懸念も強い。iPhone 14の売れ行きを左右するのは、需要よりもサプライチェーンのリスクになりそうだ。
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