宮市亮「E-1」で日本サッカー史を変えろ W杯にビッグサプライズを

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技術もドラマ性もある選手

   悪く言えば「出戻り」。だが、私はそうは思わない。

   「彼」。宮市亮が、E-1選手権で活躍することには二つの意味がある。

   一つは、新たなモデルケースをつくり出す可能性。十代で欧州3大リーグにチャレンジしたがレギュラーをつかめず、28歳で日本に戻る。そこから活躍し、10年ぶりに日本代表に復帰――。宮市自身、「今もけがで苦しむ選手は多い。諦めない気持ちを持っていれば何か変わる、人生の中で変わる転機は出てくる。そうした姿も一つ見せたい」(『スポーツ報知』より)と意義を語っている。

   そしてもう一つ、純粋に森保ジャパンに新たなオプションが生まれる点だ。

   FIFAワールドカップ2022カタール大会(カタールW杯)に臨む森保ジャパンのディフェンス、ミッドフィルダーはほぼリストが固まっている。一方で、「ポスト大迫勇也」が見つかっていないセンターフォワードはもちろん、アタッカーのポジションには滑り込める可能性がある。

   宮市は武器であるスピードだけでなく、クロスの精度もかなり高い。左右どちらとも縦への突破や、カットインからのシュートやクロスなどパターンがあり、委任戦術をとる森保ジャパンでも色を出しやすいはず。

   欧州組不在もあり、E-1選手権に対する大手メディアや日本人の関心は高いとは言いがたい。しかし、森保ジャパンの選手たちは本気だ。優勝すれば、カタールW杯のメンバーリストに入る可能性があることは、史実が物語っている。優勝した2013年大会では、初招集ながらも得点王になった柿谷曜一朗と、同じく初招集で大会MVPの山口蛍が、FIFAワールドカップ2014ブラジル大会のメンバーに名を連ねた。逆に言えば優勝が最低ノルマで、加えて圧倒的な個のパフォーマンスを魅せて初めて、メンバー争いに食い込むことが出来る。そんな中でも期待値の高い選手の一人が、宮市なのだ。

   「回り道のない人生なんて、あらすじで読む小説のようなものだ」とは中谷彰宏氏の言葉だが、大手メディアや日本人が好むドラマ性もある宮市に、注目したい。(選手敬称略)

石井紘人 @ targma_fbrj

石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。 株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『レフェリー』の販売中。

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