地上波が映らない「チューナーレステレビ」が増えている。地上波用チューナーを内蔵しない代わりに、インターネット動画を楽しめる映像機器だ。ネット上ではNHKに受信料を払わなくてもよい「テレビ」としても何度か話題になっている。
ただ、「ソニー」や「パナソニック」、「東芝」ブランドといった有名メーカーからは、家庭向けのこのようなテレビは見当たらない。今後はメジャーなテレビ機器製造会社も参戦してくるのか。
アナリストの分析は
近年、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」で2021年12月10日に発売された「チューナーレススマートテレビ」が大きく注目された。テレビ向け基本ソフト「Android TV」を搭載し、「ユーチューブ」や「ネットフリックス」を受信できる。22年7月10日付産経新聞によれば、このテレビはチューナーレスのため、NHK受信料を支払う必要がない。
その後、6月21日には生活関連用品を扱う「ドウシシャ」(大阪本社:大阪市)が「ORION(オリオン)AndroidTV搭載 チューナーレス スマートテレビ」」を。7月15日には Smart TV(東京都文京区)が、チューナーレスの「43V型4Kスマートテレビ」を発売するなど、複数メーカーが追随している。
上述通り、有名メーカーから「チューナーレステレビ」などと冠した同様の家庭向け機器が発売される例は見当たらない。
家電製品の市場調査を行っているBCNのアナリスト・道越一郎氏に取材した。NHK受信料が不要であるというメリットや、ネット動画コンテンツが普及し、地上波のコンテンツとしての地位が落ちてきた点からチューナーレステレビが増えてきたとみる。
有名メーカーがチューナーレステレビに参入しない理由は、明確には「わからない」と語る。ただ、テレビ機器メーカー側と、テレビ局といった放送業界側がこれまでに一定の関わりを有しているからではないかと推測を続けた。
同氏によると、地上デジタル放送への対応など、放送規格に応じた機器を作るうえで有名メーカーはこれまでに放送業界側からの協力を得てきたと考えられる。テレビ局側との関係を「ないがしろ」にするかのように、いきなり「テレビ」と冠しつつチューナーを搭載しない映像機器を発売するのは難しいのではないか、との分析だ。