竹内涼真さんが主演を務めるドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)は、2022年7月14日に第2話が放送された。日本でも話題になった韓国ドラマ「梨泰院クラス」のリメーク作とあって、スタート前から多くの注目を集めていた。
ツイッター上では、ドラマを見た人が「梨泰院クラスも見たくなった」「続きが気になるから見ようかな」と投稿している。原作ドラマも気になる人が多いようだ。2つのドラマを比較した。
「ジャパン・オリジナル」うたう
「六本木クラス」第1話(7月7日放送)は、番組平均個人視聴率は5.2%、番組平均世帯視聴率は9.6%。ドラマ部門では週間高視聴率ランキング2位だ(7月4~10日・関東地区、ビデオリサーチ調べ)。番組の公式インスタグラムによると、テレビ朝日史上最速で、見逃し配信200万再生を記録したという。
原作ドラマの「梨泰院クラス」も、再び注目の的だ。「ネットフリックス」の日本版週間ランキング(7月4~10日)・テレビ番組部門で1位(前週5位)。ネットフリックスが公開している最も古い週間ランキングは2021年6月28日~7月4日だが、この週は10位となっている。これ以降「梨泰院クラス」が1位を記録した週はない。2020年3月に配信された作品が、見事首位に返り咲いた。
日本版、韓国版ともに好調。日本版は、リメークとして「ジャパン・オリジナル」をうたっている。原作との違いはどこにあるのか。放送話までのドラマを見比べてみた。
「梨泰院クラス」1話冒頭は、「六本木クラス」では全てカットされている。主人公の転校前の様子が語られた場面だ。「六本木」主人公の宮部新、「梨泰院」の主人公パク・セロイともに、人間関係に不器用で不愛想なキャラクター設定だが、「梨泰院」の冒頭場面はそれをわかりやすく示していた。
それは、こんな描写だ。セロイは学校で孤立しているが、それを気にせずに学校生活を送っている。「夜間自習」に来ないために教師からペナルティーを課されるが、それでも一度も出席しなかったエピソードから、セロイが自分の信念を曲げない性格だと、はっきりと伝わる。また、美人な女子生徒から告白されるも全く相手にせず、スルーする場面はセロイが不愛想であると視聴者に印象付ける。
ところが、この場面は「六本木クラス」には出てこない。
原作は「CMなし1時間以上」
もうひとつ、異なるシーンがある。「六本木クラス」の描写で見てみよう。
床に散らばった事件資料から、新の父をひき殺した犯人の車が、新の退学原因を作った宿敵・長屋龍河(「梨泰院クラス」では、チャン・グンウォン)のものだと発覚する場面。物語の転換点で、かなり重要なシーンだ。
父の葬儀中、失意の底にいる新のもとに刑事がたずねてくる。出頭した犯人の顔を知っているか、確認に来たのだ。捜査資料を渡された新だが、そこに写っていた中年男性を知らなかった。そして、「示談の申し込みがある」と伝えられると、新は資料を投げ落とし、そのまま資料に寄って滑るように崩れ落ちた。しかし、散らばった資料に映った車とそのナンバーを見た楠木優香(「梨泰院クラス」では、オ・スア)は、真犯人が龍河だと気づく。刑事は「すみません」と言いながら、優香の手元から資料を奪う。優香が真相を新に伝えると、新は怒って立ち上がり、その場を去っていく――。
「梨泰院クラス」では、示談の件を伝えられたセロイは、渡された資料を床に投げ落とさない。呆然として手から資料が滑り落ちる演出になっている。そして、頭を抱えるように静かに崩れ落ちるのだが、床に散らばった資料はそのままに、刑事は画面から退場する。そして、その資料をスアが拾いあげて、まとめていく中で真犯人が龍河であることに気づく。スアがこぼした言葉から、真犯人がわかったセロイは涙を流しながら、怒りのままに立ち去る。
双方を比べると、演出に微妙な違いが見えてくる。
「梨泰院クラス」は16話、いずれもCMなしで1時間以上と日本版の全13話に比べて長い。そのため「六本木クラス」では削られている場面や、改変されたシーンがある。日本版でスピード感良く楽しみつつ、韓国版で細かい描写がどうなっているかをチェックするのも、楽しそうだ。