原作は「CMなし1時間以上」
もうひとつ、異なるシーンがある。「六本木クラス」の描写で見てみよう。
床に散らばった事件資料から、新の父をひき殺した犯人の車が、新の退学原因を作った宿敵・長屋龍河(「梨泰院クラス」では、チャン・グンウォン)のものだと発覚する場面。物語の転換点で、かなり重要なシーンだ。
父の葬儀中、失意の底にいる新のもとに刑事がたずねてくる。出頭した犯人の顔を知っているか、確認に来たのだ。捜査資料を渡された新だが、そこに写っていた中年男性を知らなかった。そして、「示談の申し込みがある」と伝えられると、新は資料を投げ落とし、そのまま資料に寄って滑るように崩れ落ちた。しかし、散らばった資料に映った車とそのナンバーを見た楠木優香(「梨泰院クラス」では、オ・スア)は、真犯人が龍河だと気づく。刑事は「すみません」と言いながら、優香の手元から資料を奪う。優香が真相を新に伝えると、新は怒って立ち上がり、その場を去っていく――。
「梨泰院クラス」では、示談の件を伝えられたセロイは、渡された資料を床に投げ落とさない。呆然として手から資料が滑り落ちる演出になっている。そして、頭を抱えるように静かに崩れ落ちるのだが、床に散らばった資料はそのままに、刑事は画面から退場する。そして、その資料をスアが拾いあげて、まとめていく中で真犯人が龍河であることに気づく。スアがこぼした言葉から、真犯人がわかったセロイは涙を流しながら、怒りのままに立ち去る。
双方を比べると、演出に微妙な違いが見えてくる。
「梨泰院クラス」は16話、いずれもCMなしで1時間以上と日本版の全13話に比べて長い。そのため「六本木クラス」では削られている場面や、改変されたシーンがある。日本版でスピード感良く楽しみつつ、韓国版で細かい描写がどうなっているかをチェックするのも、楽しそうだ。