シャープの新型スマートフォン(スマホ)「AQUOS R7」の価格が話題だ。2022年6月29日までに発表されたNTTドコモ版は、19万8000円(税込・以下同)。前世代機「R6」(ドコモ版)は11万5632円だったので、大きく値を上げている。
購入から23か月目に端末をドコモ側に返却する「いつでもカエドキプログラム」を利用すれば、「R7」の負担額(23回払い)は11万4840円となる。返却しなければ、上述の20万円近い費用がかかる。「iPhone」シリーズ最上位機種の同等モデルを上回る金額だ。
同じ256GBなら「13 Pro Max」より高い
「R7」ドコモ版は、2022年7月下旬以降に発売予定。発表価格を見たインターネット掲示板のユーザーからは「高すぎ」との反応が出ている。同機のソフトバンク版も7月8日に発売予定で、こちらは18万9360円だ。
人気スマホシリーズ「iPhone」と比べた。ドコモ版では、最新機種「iPhone 13」の「128GBモデル」は11万1672円で、「R7」よりも8万円以上安い。
より高性能な「iPhone 13 Pro」でも、128GBモデルは14万2560円。なお「R7」の値段が上回る。「13 Pro」のデータ容量を増やした「512GB」モデルは19万7208円と設定されており、ここまできてようやく「R7」に並ぶ。
さてアップル直販で買えるSIMフリーモデルは、7月1日に値上げされた。20万円超えとなったiPhoneは一部の大容量タイプだ。「13 Pro」の1TBモデル(21万9800円)と、さらに画面の大きい最上位機種「13 Pro Max」シリーズの512GBモデル(20万4800円)・1TBモデル(23万4800円)となっている。
「R7」の保存可能なデータ容量は「256GB」。同容量の「Pro Max」と比較すると、価格は依然として上回っている。アップル直販の「13 Pro Max」256GBモデルは17万4800円で、ドコモ版256GBモデルも18万2160円なのだ。
「R7」の約20万円という価格設定の背景について、ITジャーナリストの富永彩乃氏に取材した。まず、「R7」はデジタルカメラにも搭載される「1インチ」サイズという高性能なカメラセンサーを搭載しており、大きな開発費・製造コストがかかるという。
他方、通信キャリア会社ではドコモの「いつでもカエドキプログラム」のように購入サポート用のプログラムを出し、端末を割引して販売している。今回の価格設定には、「キャリアの割引を前提」とした側面もあるのではと推測した。
自分のニーズに合うスマホ買う時代
「AQUOS R7」発表前の6月3日には、他の国内メーカーから「20万円クラス」スマホが登場していた。ソニーの「Xperia 1 IV」だ。ドコモ版は19万872円、au版は19万2930円、ソフトバンク版は19万9440円となっている。こうした高額スマホが、主流になっていくのか。
富永氏によると、ハイエンド(高価格帯)スマホの性能は、一般ユーザーからすると「オーバー」な機種が増えている。半面、こうした端末はこれからも最新技術を搭載する上で開発費がかかっていくため、高価格化は避けられないとみる。
一方で、中国シャオミなどが販売する4~5万円程度の「ミドルレンジモデル」でも、「普段づかい」する分には十分な性能を有すると富永氏。
「自動車が軽自動車からスポーツカーまで様々なモデルがあるように、スマートフォンもこれからはユーザーが自分のニーズに見合ったモデルを買う時代になります」
一般ユーザー向けの手ごろなモデルと、先進技術を使いたい人向けの高価格モデルという具合に、製品は細分化されていくというわけだ。iPhoneも、低価格モデルと同時に、最新技術を搭載した上位モデルを展開していくと推測した。
「シャープやソニーのハイエンドモデルは、メーカーとしての技術のすべてをつぎ込んだ製品です。そのため技術では(iPhoneに)十分勝負できると思います」
と富永氏。あとは販売力やブランド力の向上が、iPhoneに対抗するうえで欠かせないだろう。