大会招致の費用の帳簿は焼却
日本では1998年の長野五輪の記憶がよみがえる。弁護士ドットコムの記事によると、長野市が五輪のために借り入れた額は利息を含めて約694億円となり、その償還は20年後の2018年度までかかった。
特に「負の遺産」として知られるのが、ボブスレー施設「長野市ボブスレー・リュージュパーク」(スパイラル)だ。もともと競技人口が少なく、その維持について長野市議会でも度々、問題視されてきた。結局、2億円を超えるという多額の維持管理費を理由に、長野市は2017年4月、競技施設としての利用を断念した。
NHKによると、長野五輪では大会後に、招致委員会の使途不明金も明るみになった。大会招致のために使われた費用を記録する帳簿が焼却され、実態はうやむやに。県の調査委員会は、IOC(国際オリンピック委員会)への過剰接待や9000万円の使途不明金があったと認定した。
JOC(日本オリンピック委員会)と札幌市は現在、2030年冬季五輪・パラリンピックの札幌市招致に向けて準備を急いでいる。北海道新聞社の今年4月の世論調査によると、札幌市民は「開催反対」が57%と過半を占める。札幌市は極力既存施設を利用することで、市民の理解を得ようとしている。