食料危機で亀裂の夫婦も
上海当局は「リベンジ離婚」「ロックダウン解除後の離婚激増」説について、2020年初めの武漢パンデミックの後も離婚申請の予約が取りにくくなったと説明。その上で、同年1~5月の結婚手続きが3万3150件だったのに対し、離婚は1万6307件だったことを挙げ、「感染対策などで1日の申請受け付けに上限を設けていることから、予約が取りにくくなっているだけで、全体で見れば離婚が急増しているわけではない」との見解を示した。
ただし、2か月超にわたる外出制限で関係に亀裂が入った夫婦は少なくない。
特にロックダウン初期の4月初旬は食料の配給システムが未整備で、上海市全体が食糧難に陥ったことから、あちらこちらで食べ物をめぐる争いが頻発した。ある女性がSNSに「残り二つしかないカップラーメンと夫が一つと半分食べ、残りの半分を子どもに食べさせた。私の分は残してくれていなかった。私はカップ麺以下の存在だ」と、汁だけ残された容器の写真を投稿。「2杯のカップ麺事件」として大拡散するなど、家族の危機もあちこちで報告された。
ロックダウン期間に離婚を決意した夫婦が封鎖解除明けに離婚を申請したとしても、予約ができるのが1か月後、さらに1か月の冷静期があることから、実際に数字として表れるのは秋以降になりそうだ。
浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37