久保建英と南野拓実に漂う不安 チュニジア戦で見えた「足りないピース」

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【連載】サッカー・カタールW杯 森保ジャパン勝負の1年

   ショッキングな敗戦だった。

   3失点ではない。1得点も奪えなかったことだ。

   チュニジア戦(2022年6月14日)後の会見で、記者からの最初の質問も「攻撃の課題について」だったように、そのクオリティ-に大多数が不満を持ったと思う。

   そんな攻撃陣に対する批判の矢面に、南野拓実と久保建英が立たされている。

   南野はサッカー専門誌『ザ・ワールド』に「W杯メンバー選出に黄色信号」と書かれ、久保はサッカーライターたちから「当落線上」と評された。

   いったい二人に、何が起きているのだろうか。(石井紘人 @ targma_fbrj)

  • スペイン・マジョルカでプレーする久保建英(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)
    スペイン・マジョルカでプレーする久保建英(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)
  • スペイン・マジョルカでプレーする久保建英(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

所属クラブでレギュラー奪えない

   南野も久保も今季、所属クラブでレギュラーを獲得出来なかった点は類似している。ただ、二人の置かれている状況は違う。

   南野が所属しているのは、「世界一のリーグ」と評されるイングランド・プレミアリーグのリヴァプールFC。今季はリーグ2位、さらに世界最高の大会であるUEFAチャンピオンズリーグで準優勝まで登りつめたチームだ。そこでレギュラーを獲得するのは、得点王争いをするようなもの。南野はFAカップで活躍し、大会ベストイレブンに選出されるパフォーマンスをみせた。それでもレギュラーを獲得できないのが、「メガクラブ」リヴァプールである。

   久保も、プレミアリーグと並ぶハイレベルなスペイン・リーガエスパニョーラで戦ってはいる。だが、所属クラブはギリギリで下部リーグ降格を免れたRCDマジョルカ。そこでレギュラーを獲得出来ていないのは、実力不足とみられても仕方がない。カップ戦含め2得点という苦しいシーズンがそのまま、日本代表でのパフォーマンスに現われている。

   久保とは違い、南野はキレに問題はない。だが二人とも、更なる問題が襲う。それは日本代表の課題である連携面である。

   選手たちのコメントを聞いて推察できるが、森保一監督は攻撃に関して『委任戦術』をとっていると思う。選手たちの対応力を高めるため、チーム戦術をそこまで固めていない。チュニジア戦後の三笘薫の次のコメントが、物語っている。

「チームとしてどうやって攻めていくか、決まり事ではないですが、いろんなものを持たないといけないと思います。個人でのコミュニケーションで、立ち位置を『こういう風にしてほしい』と言っていますが、チーム全員で共有する必要はあるかなと思います」(『サッカーダイジェスト誌』より)

石井紘人(いしい・はやと)
ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。 株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『レフェリー』の販売中。

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