円安で多数の商品や原材料が値上がりする中で、砂糖の値上げも報じられている。砂糖は多くの関連食品に使われており、食用油や小麦などと並んで影響が大きい。消費者の買い控えも起きており、製糖メーカーの再編に向けた動きも活発になっている。
原料コストの大幅増を転嫁
日経新聞によると、DM三井製糖ホールディングス傘下の2社は2022年6月10日、7月11日の売り上げ分から砂糖の出荷価格を6%引き上げると特約店などに通知した。値上げは21年初めから4回目で、上げ幅は過去4回で最大。急激な円安による原料コストの大幅な増加を転嫁するという。
DM三井製糖傘下の三井製糖と大日本明治製糖は、国内シェアの約4割を占める。他のメーカーも追随する可能性が高いという。
同紙によると、精製糖は、原料となる粗糖の約6割が輸入だ。円安で輸入価格が上昇しているだけでなく、粗糖の国際価格も高止まりが続いている。原油価格の高騰で、サトウキビが粗糖ではなく、バイオエタノールに振り向けられるとの見方も影響しているという。
砂糖調製品も値上げへ
食品新聞によると、砂糖の国内消費は、消費者の健康志向などで漸減傾向が続いている。とくに昨年からの価格上昇で、今年2~3月の砂糖の出荷量は前年をかなり下回った。小袋(家庭用)の出荷量は、2月84.07%、3月90.23%と落ち込みが大きかった。
砂糖の消費は、土産用の菓子向けなど業務用需要が9割。この2年間はコロナ禍で旅行需要が減るなどして大きく落ち込んだ。さらに原油高による資材・包材など生産関連コスト、国内輸送コストの上昇なども、製糖メーカーの経営を圧迫している。
このためメーカー再編の動きも加速している。すでに今年10月に三井製糖と大日本明治製糖の合併が決まっているが、6月10日には日新製糖と伊藤忠製糖が、両社の経営統合に関する基本合意書を締結すると発表した。業界2位の規模になる。
甘みの材料には「砂糖調製品」もある。砂糖に他の食品素材を混合した食品加工用原料のことだ。菓子類や調味料類、漬物、佃煮・煮豆など幅広く使われている。砂糖の値上げに少し遅れて値上げされることが多い。今回の砂糖値上げで、こちらも値上げされることになりそうだ。