アナリストの分析は
家電製品の市場調査を行っているBCNのアナリスト・道越一郎氏に取材した。地上波が映らないテレビという構想は以前からも家電業界にはあったという。
そんな中、ドン・キホーテの「チューナーレススマートテレビ」が注目を集めた。22年2月10日付のドンキ運営「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」の決算説明資料によると、このスマートテレビは同日までに売上1億円を超える人気商品となっている。
ネット専用というジャンルのテレビとして「アリなんだ」と業界で認識されたこと、かつ一定の売れ行きが見込めるとわかったことから、各社が相次いで参入しているのではないかと分析する。
こうした「テレビ」が売れる背景として、NHKの受信料が不要であるというメリットも「多少はある」と道越氏。ただ、それ以上に、近年ではネットコンテンツの数が増えている一方、ユーザーにとって、地上波といった放送波のコンテンツとしての価値は相対的に下がりつつあるという面が大きいのではないかと推測する。
それを表すかのように、BCNがデータで把握している限りでは、地上波を録画する「レコーダー」の売り上げが落ちてきているという。
また現状、ネット動画専用のモニターを「テレビ」として大々的に販売している大手メーカーは見当たらない。そこで、地上波チューナーを備えた通常の「テレビ」市場ではあまり売り上げが振るわなくても、こうした「モニター」の延長にある機器であればある程度「稼げる」と判断した非大手メーカーが参入しているという側面もあるのではないかと話した。